受託給食企業4社による保育園給食の取組み/日本給食サービス協会主催セミナー(2)
当社は保育園・幼稚園の皆様と気持ちを共有するため、給食会議ではなく給食懇談会を開催している。参加者が知恵を絞って意見を言い合い、子どもたちの笑顔を作るために話し合う場所だ。大事なのは、FACE to FACE。会って、顔を見て、話すことである。これは当社の接客の基本でもある。
【関連記事】
・受託給食企業4社による保育園給食の取組み/日本給食サービス協会主催セミナー(1)
〈トリプルチェックで給食を良くする〉
私は、保育園・幼稚園給食に限らず、当社のどのスタッフにも「相手がどんな表情でどんな様子で食べているかを見て欲しい」と言う。実際に会うことで、調理する側も、食べている方も、心が通うと考えているからだ。保育園・幼稚園の園長先生だけでなく、担任の先生や保健師さんとも、毎日の朝礼や給食懇談会で給食について話し合う。この取組みを弊社では、「トリプルチェック」と呼んでいる。皆で話し合うことで、給食をさらに良いものにすることができる。
会って話すのは、保育園・幼稚園の先生だけではない。献立や調理に携わるスタッフは保護者の皆さんとも話をする。そうすることで、大事なお子様に食べてもらう給食への安心感が増す。食育として実施している地産地消の取り組みも紹介する。地域の食材に親しむことは重要であり、地元の納品業者から地場の野菜を購入している。新規のお客様を受託した時には、その事業所の近くにある地元の八百屋、魚屋、肉屋等、業者を探している。
〈愛情を込めた手作りにこだわり〉
当社は、できる限り手作りの給食を提供している。以前、クリスマスや誕生日会は特別な日なので、ケーキ屋さんで購入したケーキを提供することと、仕様書に書かれていた保育園があった。しかし、当社のスタッフが「高い値段で買ってきたケーキを提供するよりも、大変だが、園児の顔を思い浮かべながら、私が作ったケーキの方が『美味しい』と言ってもらえる自信がある。作らせてほしい」と園長に頼み、許可をいただき、200人分の園児のケーキを手作りした。園児は全員残さず、喜んで食べてくれた。このことがきっかけで、イベントのケーキはほとんどの事業所で手作りを提供している。
〈細心の注意でアレルギー対応〉
続いて、アレルギー食の提供について説明する。保護者からの聞き取りで、アレルギー用のカルテを作成し、保護者と担任の先生、保健師の先生と一緒に、給食の提供について話し合い、アレルゲン除去及び代替え食の提供を行っている。
その際、アレルギーを持っているお子様が他の給食を見た時に、自分だけ何故違うのかと、がっかりしないよう、できる限り見映えを工夫している。例えば、乳製品・卵禁止のお子様にプリンの代替え食を提供する時は、豆乳の中にかぼちゃペーストを混ぜて同じような色に工夫している。
しかし、見た目を一緒にしてしまうと、今度は提供時のミスのリスクが高まる。誤配防止の取り組みとしては、▼前日のミーティングで翌日のアレルギー食を確認、▼当日の朝礼時にアレルギー食のメニューを発表、▼提供するお子様の名前とクラスを担任の先生と共有、▼専属スタッフがアレルギー食を調理、▼トレーの色を変える、▼「アレルギー食がある日」という看板を貼り、調理スタッフ・先生方と情報共有、▼目立つ食札をトレーに置く、▼調理スタッフと責任者が必ず声に出してチェックする等。
これらのチェックによりアレルギー食提供のミスはないが、人が関わることなので、ミスが必ず出ると考え、注意を怠らず取り組んでいる。アレルギーは生死に関わると怖がってしまい、その結果、本来の食育の取り組みができなければ意味がない。リスクと上手に付き合いながら、給食を提供したい。これからも、かけがいのない子どもたちの笑顔を絶やさないよう、思いを込めて安全・安心な給食を届けていきたい。その思いが食育の1つとなり、子どもたちの健やかな成長のお手伝いになればと願う。
〈給食雑誌 月刊 メニューアイディア 2018年4月号より〉
【関連記事】
・受託給食企業4社による保育園給食の取組み/日本給食サービス協会主催セミナー(1)
・受託給食企業4社による保育園給食の取組み/日本給食サービス協会主催セミナー(3)
・〈座談会〉医療・介護の食事サービスを変える! 日清医療食品「ヘルスケアフードファクトリー亀岡」にみる省力化(1)
・〈座談会〉学校給食用食品メーカー協会 大沼会長・清水副会長、全国学校栄養士協議会 長島会長
・ゼンショーHD、茨城・石岡に事業所内保育所を開園 生後57日目から受け入れ
・ネスレ日本、幼稚園・保育園内に“パパママカフェ” 18年内に100ヵ所展開予定