「日本スポーツ栄養協会」発足、管理栄養士によるスポーツ現場への栄養サポートに意欲
日本スポーツ栄養協会は9月28日、トラストシティカンファレンス丸の内(東京)で設立記念メディアセミナーを開催した。東京オリンピック・パラリンピックを前に、スポーツに関わる人たちを栄養面からサポートする動きを広めるため、協会は6月14日に設立。競技力や体力の向上のために、食事に関するアドバイスを行う公認スポーツ栄養士約170人が参加している。
セミナーでは、鈴木志保子理事長(神奈川県立保健福祉大学教授)が「スポーツ栄養の世界とは」と題して講演した。病気の回復や予防のための栄養学ではなく、元気にするための栄養学がスポーツ栄養であると見解を示し、スポーツ栄養を活用する人はアスリートだけでなく、スポーツ愛好家や健康保持・増進のために身体活動量を多くしている人、子ども全員と多岐にわたると述べた。
そして「選手のパフォーマンスが向上するよう栄養サポートを行うとともに、食品や減量方法などの正しい情報の発信に力を入れていく」と述べ「自分1人1人に管理栄養士がついてくれたらどれだけ自分の生活や体などに道が開けるのかを分かってもらいたい」と管理栄養士がスポーツの現場に関わっていくことに意欲を示した。
その後、「勝つための栄養マネジメント」をテーマに、競技指導者によるパネルディスカッションが開かれた。順天堂大学陸上競技部女子監督の鯉川なつえ氏は「長年、記録のためには体重を減らせと指導され、食べてはいけない、飲んではいけないと思い込んでいる選手がいる。スポーツ栄養がなければアスリートは世界に勝てない。栄養に関する正しい最新の情報を指導者や選手に届けてほしい」と要望を語り、パラリンピック水泳の日本代表ヘッドコーチを務める峰村史世氏は「栄養面のアドバイスを受けて成績が伸びたケースがある。障がいに応じた個別のサポートをお願いしたい」と障がいのある方への栄養サポートに期待をかけた。
〈食品メーカーとの連携事業も〉
協会の主な事業は、〈1〉スポーツ栄養の普及啓発、〈2〉スポーツ栄養サポート(公認スポーツ栄養士の紹介)、〈3〉公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士支援事業、〈4〉スポーツ栄養ネットワーク構築、〈5〉食品開発・マーケティング支援事業の5つ。〈5〉では、スポーツ栄養学を活用した食品開発へのアドバイスやマーケティング支援、PR監修などを実施する。10月から毎月、ビジネスパーソン向けスポーツ栄養セミナー「The 志保子塾」を開講。来春からは、市販食品を活用目的に合わせてカテゴライズし、商品パッケージに推奨マークを載せるなどスポーツ栄養情報の発信で、生活者へ新たな付加価値を提供していく。