日本栄養支援配食事業協議会(NSD)が2年目の総会、黒田会長「会員企業のプラスになる活動を」

NSD 黒田賢会長
〈「配食事業のガイドライン」と「特別用途食品」の2つの分科会を主軸に活動展開へ〉
日本栄養支援配食事業協議会(NSD)は4月16日、都内で総会を開催した。加盟企業31社中24社が出席。全ての議案が可決した。特別講演会として、医療法人社団悠翔会の佐々木淳理事長・診療部長が講演。情報交換会も行われた。

総会の冒頭、黒田賢会長(ヘルシーネットワーク社長)は「協議会として2年目の総会を迎える。この一年は想定以上の加盟企業を得たことで、運用するための体制づくりに追われたが、2年目は加盟企業のプラスになれるよう2つの分科会活動を中心に活動を行う。世の中で求められている要素を協議会で議論し、各社のレベルが上がることに多少なりとも寄与できるよう取り組みたい」と述べた。

分科会1では、厚労省が作成した「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」の有効な活用方法を議論する。ケアマネージャーなど医療・介護関係者にガイドラインの重要性を伝えるとともに、ガイドラインを遵守している企業が行政委託を受けやすくなることを目指す。

分科会2では、消費者庁が8月に特別用途食品制度に新設する、糖尿病と腎臓病を中心とする疾患に対応した弁当タイプのカテゴリについて議論する。特別用途が申請、取得しやすい環境整備を図る。

ともに年4回(5月16日、8月、11月、2月)開かれ、8月には分科会1で厚労省の、分科会2で消費者庁の勉強会も予定されている。

〈医療法人社団悠翔会 佐々木淳理事長「栄養とともに食べる喜びも」〉
その後、佐々木理事長が講演。「在宅高齢者の多くは低栄養あるいはそのリスクの高い状態にある。低栄養は加齢に伴う衰弱を早めるとともに、誤嚥性肺炎や骨折などの重大な要因の1つでもある。低栄養状態を改善するため必要な栄養素を過不足なく摂ることは重要だが、それとともに、誰と、どう食べるのか、食べる喜びを感じられるよう食環境の整備も生活の質を考える上で重要である」と、高齢化社会における栄養の重要性とともに共食の場の必要性も訴えた。

医療法人社団悠翔会 佐々木理事長

医療法人社団悠翔会 佐々木淳理事長

〈厚労省 塩澤室長補佐「配食サービスは潜在性に富んでいる」〉
情報交換会には、厚労省健康局健康課の塩澤信良栄養指導室長補佐、消費者庁食品表示企画課の宇野薫課長補佐、日本栄養士会の下浦佳之常務理事ら来賓が多数出席した。
 
塩澤室長補佐は「配食サービスは潜在性に富んでいる。国も適切な栄養管理に則った配食サービスをどんどん普及していきたいと考えており、昨年11月の未来投資会議(座長:安倍総理)の資料にも掲載した。従来の個別のご自宅への宅配とあわせ、街の共食の場を活用した配食の両方のアプローチで高齢社会に対応し、明るい未来が築けると考えている」と述べ「今後もいろいろな知恵・助言を賜り、こうした動きを推進していきたい」と連携を求めた。

厚労省健康局健康課 塩澤室長補佐

厚労省健康局健康課 塩澤信良栄養指導室長補佐

宇野課長補佐は「昨年11月に特別用途食品許可等に関する委員会に、協議会を中心にまとめていただいた要望を提出いただいた。現在、特別用途食品に関して、病者用食品の糖尿病用・腎臓病用の食品セットについて、許可基準の追加等の動きを進めている。在宅療養支援の現場でより活用してもらえるよう制度設計をすすめたい」とあいさつした。
 
〈日清オイリオとSOMPOケアフーズが加盟〉
総会前の理事会では、日清オイリオグループとSOMPOケアフーズの2社の加盟が承認された。
 
4月16日時点の加盟企業は、ニチレイフーズ、日東ベスト、日清オイリオグループ、日清医療食品、国分グループ本社、ワタミ、ヘルシーネットワーク、はーと&はあとライフサポート、トーアス、キッセイ薬品工業、シニアライフクリエイト、タイヘイ、武蔵野フーズ、カネハツ食品、栗木食品、グローバルキッチン、サンワフーズ、ジョイント、シルバーライフ、ソーシャルクリエーション、トーカン、SOMPOケアフーズ、日本生活協同組合連合会、ニュートリー、林兼産業、パレット、ひまわりメニューサービス、ファンデリー、ベネッセパレット、ベルーナ、モルツウェル、ユニマット リタイアメント・コミュニティ、ヨシケイ開発――の33社である。