給食企業の「スマートミール」認証事例(3)レパスト 「健康寿命延伸のために」

レパスト 田村駒株式会社事業所所長(管理栄養士)荒川真菜美氏、第1・第3営業部スーパーバイザー(栄養士)寺﨑沙織氏、第1営業部スーパーバイザー(管理栄養士)足立匡郎氏
日本給食サービス協会は去る2月20日、第40回フード・ケータリングショーの一環として、協会主催セミナー「~安全・安心に取り組んでおります~健康な食事・食環境『スマートミール』への取り組み」を開催、給食企業3社がスマートミール認証の導入事例を紹介した。

〈関連記事〉第40回フード・ケータリングショーで給食企業の「スマートミール」認証事例を紹介/日本給食サービス協会=https://www.ssnp.co.jp/news/feeding/2019/06/2019-0624-1115-14.html

以下、レパストの事例紹介。

当社は2017年11月に協会の産学連携委員会を通じて、認証制度の発足に先駆けたトライアル(実施可能性試験)への参加打診を受けた。全社で対応する体制を構築し、12月にトライアルが始まり、2018年5月に正式申請、同8月に認証された。

〈トライアルで戸惑った点〉
認証を受けた事業所は2カ所で、そのうち星2つの認証を受けた田村駒(株)様東京本社の事例を紹介する。まず、お客様へ認証の趣旨説明を行い、応募にあたり賛同と協力を依頼した。トライアルでは星1つで申請を開始し、その後、エビデンスの精査を進め、星2つの検討を行った。

トライアルを実施して主に戸惑った点は、様式を記入する際にどのような情報を記入したら良いかが明確に記載されておらず、見本などもないため要求されているエビデンスの具体的なイメージがつかみにくかったことだ。また、給食受託業者としては、認証を進める上で、野菜、果物、牛乳・乳製品などコストが合わない基準が散見していた。

現在、スマートミールのHP では、認証基準の科学的根拠が示されている。認証基準の解説と引用文献、リンクが記載されており、どのようなエビデンスを事業所で準備したら良いかも分かるので、トライアルでの不安は解消されている。これから認証取得を検討されている方は参考にして欲しい。

〈提供メニューと認証申請で検討した点〉
田村駒(株)様は繊維専門商社で、食堂は平日の昼食のみ営業しており、販売食数は1日平均200食。

メニューは定食2種類を中心としたカフェテリア方式で、そのうち1種類をスマートミール該当メニューとし毎日提供している。基準は「しっかり」。1食あたり約650~ 850kcal で「主食+主菜+副菜」のパターンである。カフェテリア方式による提供のため、スマートミールに該当するメニューの選び方や組み合わせを週間メニュー表やサンプルディスプレイで掲示しているのが特徴である。

続いて、申請に向けて検討した点を紹介する。1つ目は、「認証基準を満たしたメニュー・運営方法の検討」である。メニューは従来提供していたメニューをベースに、基準を満たすようメニューの見直しや栄養価の算出を行い、掲示物やPOPの内容も検討し作成した。また運営方法は、お客様に分かりやすい表示になっているか、必要な情報が提供されているか、また実際に運営が開始され継続する上で無理のないオペレーションであるか、これらの点を重視し検討した。なお、申請時には栄養価のデータや表示の実施状況が検証できる写真データなど、それぞれの認証基準項目に対して、根拠となるデータの提出が必要になる。一つひとつ確実に実施されているか、検証することも重要である。

2つ目は、「事業所主体の実施と本社担当部署のサポート体制の構築」である。申請から提供までは、メニュー作成、提供方法の検討、掲示物の作成、申請書類作成、事務局との連絡――など様々な実務がある。当社では、これらの業務を事業所の所長や栄養士など事業所スタッフが主体となって進め、本社に設置した担当部署がそれをサポートした。事業所スタッフと本社担当スタッフが連携することで、作業効率を高めることができたと考える。

〈認証取得のメリット〉
委託側の企業においては、健康経営の実践や福利厚生の充実が図られることにより、企業価値や企業イメージが上がる。また、従業員の健康促進により業績がアップするという統計もある。

受託側の給食会社においては、ヘルシーメニューの提供実績が得られ、認証事業者としてスマートミールのホームページに掲載される。それにより他社との差別化を図ることができ、セールスポイントとなる。企業価値や認知度アップにもつながる。