女子テニス「東レ パン パシフィック オープン」で食事提供をサポート/シダックスグループ
大坂なおみ選手が初優勝、土居美咲選手が準々決勝出場と、日本人選手が大いに活躍した国内最大の国際女子テニス大会「東レ パン パシフィック オープンテニストーナメント2019」。9月14~22日にかけて、大阪・ITC 靱テニスセンター(大阪市西区)の選手・関係者への食事提供や送迎業務などで大会をサポートしたのが、総合サービス企業シダックスグループである。
選手レストランのメニューはすべて、同社の公認スポーツ栄養士が作成し、グルテンフリーやベジタリアン向けメニューなど世界各国の選手の食事情に配慮した多様な食事を提供した。麺・具材をカスタマイズ
できるオーダーパスタ&リゾットは特に人気で、土居美咲選手は「レストランの食事は、味もおいしくて良かった。特に、パスタが嬉しかった」とコメントした。
東京2020大会を1年後に控え、注目集まるアスリートへの食事提供の最前線をレポートする。
〈グルテンフリー、ベジタリアンメニューなど「きめ細やかさ」光る〉
シダックスグループによる大会サポートは2016年から始まり、今年で4年目を迎える。総合サービス企業として、多数の業務を一括して受注できる強みと柔軟性の高さを発揮し、選手レストランの運営だけでなく、来場者へのキッチンカーによる飲食提供、大会関係者・報道関係者への弁当提供、選手・関係者の送迎(車両運行)の4つの業務を実施した。
中でも、選手レストランでは試合前後の選手がとるのにふさわしい栄養バランスを整えたメニューを朝・昼・夜の3食、ビュッフェスタイルで提供した。国際大会ゆえ日本人選手だけでなく、外国人選手・関係者も多く利用する。その中には宗教上の理由や慣習から肉メニューを食べられないハラルやベジタリアンの方もいるため、例えば主食はご飯3種、パン5種、芋類、パスタ、リゾットと、幅広いメニューを提供した。
「どの国のどんな食の嗜好がある選手が来ても十分に食べられるように食材にこだわり献立を作成、選手がベストパフォーマンスを発揮できるようサポートすることが一番大事」。そう食事提供の狙いを語るのは、選手レストランのメニューを考案した公認スポーツ栄養士、中村みどりさんだ。
メニューを考案した中村みどりさん
ハラルの方には『ひよこ豆のカレー』や『9種の野菜カレー』を、ベジタリアンには『チリコンカン』や『大豆ミートのチリソース炒め』を用意、バター不使用で提供するなど工夫をこらしたという。また、温野菜とサラダバーを充実させ、サラダバーにはスーパーフードのキヌアやビーンズミックスなど10種程度の野菜を使用した。
上=ひよこまめのカレー、左下=オーダーパスタ、右下=鱈香り蒸しアクアパッツァ風
中村さんによると、テニス選手には世界4大会を制覇したジョコビッチ選手の影響からか、グルテンフリーを好む選手が多いという。そのため、大会関係者からのメニュー導入の声は大きく、そのニーズに応えるため、主食はご飯3種を揃えるとともに、パスタで選べる麺3種のうち1種に、グルテンフリーパスタを採用した。しかもそれは日本製造の米粉にこだわったという。「選手レストラン運営初回大会ではアメリカ製造のものを使用したが、原料はコーンだった。日本が開催地だからこそ、コメにこだわりたかった。当グループの食材一括購買・一元物流システム「エス・ロジックス」の食材供給力を生かし、商品を見つけた。もちもちした食感でおいしく、好評だ」(中村みどりさん)。パスタ・リゾットは麺と食材とソースを数種類から選べて、自分好みにカスタマイズできる。注文を受けてから調理することで出来立てを提供するため、試合の緊張感や疲れも吹っ飛ぶ粋なおもてなしで人気を集めた。
一方、主菜はエネルギー量が低いものから高いものへ、幅をもたせた4種類を日替わりで提供。大会期間中、飽きが来ないように合計19種類を揃えた。中村さんに選手のパフォーマンスをサポートするメニュー例を尋ねると「試合前の選手には低脂肪・高たんぱくのメニューが最適」と話し、『鶏むね肉の低温蒸し』『カジキマグロのペッパーステーキ』『鶏もも肉(皮なし)の香草焼き』などのメニューが挙がった。一方、試合後の選手には疲労回復のメニューとして、主食で炭水化物を補う方法とは別に、ビタミンB1豊富な『ローストポーク』や『豚しゃぶ』も用意したという。
昼食時に食堂を訪問すると、様々な国籍の方が食事を楽しんでいた。料理の近くには、選手が食堂で困惑しないよう、メニューの主要栄養素・原材料をアイコンでわかりやすく表示したメニューカードを掲示する工夫も見られた。メニューカードを作成するためには、使用する食材情報をすべて集め、膨大な情報を整理、まとめる必要がある。食事のおいしさを決めるのは料理だけではない。きめ細やかなサービスは快適な食事空間にも行き届いていた。「多国籍の選手が一堂に利用するだけに、宗教上の理由で食べられない原材料もとてもわかりやすい」と大会関係者からの評価も高いという。
メニューカード説明
土居美咲選手に話を聞くと、「レストランの食事は、味もおいしくて良かった」とご満悦。「選手はエネルギーが必要なので、パスタはとても良かった」とオーダーパスタに太鼓判を押した。また、大会運営者のアレックス・プライヤーさんは「世界の中でもトップクラスのレストランだと思う。選手がバランスのよい食生活を保ち続けるためには多彩でヘルシーな食事の選択肢があることが重要。このトーナメントではバラエティに富んだ食事を提供し、アスリートのパフォーマンスをサポートするだけではなく、おいしく、楽しく食事ができる機会を作ってくれた。でも一番よかったのは、スタッフが親切で、食事が早く提供されることだった」と高く評価。グルテンフリーについては「選択できるのはとても大事。メニューはおいしく、専用のスプーンや器具もあったのが印象的だった」とコメントした。
〈食堂運営だけでなくキッチンカーや弁当、送迎も 総合サービス企業の強み〉
大会で食事をとるのは選手・関係者だけではない。多くの来場者が大会鑑賞を楽しめるように、センターコートの外側エリアにキッチンカーを5台設置して来場者の胃袋もサポートする。また、食堂で食べられない関係者・報道関係者には弁当を提供。大会期間中、8種類とバラエティに富んでいるのも嬉しいものだ。
さらに、選手・コーチ・大会関係者の来日時、帰国時、試合前後の空港・ホテル間、ホテル・会場間の送迎もシダックスグループが担当する。食堂運営、弁当提供、送迎を別々に委託するのではなく、一括して発注できるのは総合サービス企業だからできる強みである。大会トーナメントディレクターの中川裕さんは、「シダックスグループの多様な経験とノウハウを活かし、東レ PPOテニスにてサービスを提供していただけることは大変ありがたく、嬉しく思う」と評価し「今年も、本大会に関わる皆様に喜んでいただける飲食の提供と、スムーズな選手送迎で大会の成功に貢献していただきたい」と強力なサポートに期待をかけた。
本業務の運営責任者を務めた保谷武彦さんは「本大会のようなトップアスリートへの食事提供の経験は大きな実績になり、他大会の新たな運営受託の鍵になる」とアスリートへの食事サポートに意欲を示し、「シダックスの大きな武器として注目を集めることで、若い社員の刺激になり、弊社で働きたいと思える魅力になれば嬉しい」と語った。 シダックスグループは様々な競技選手のサポート実績と総合サービス企業の強みを活かし、今後もスポーツ大会のバックアップを強化していく。