夜間のヘリ着陸誘導を簡易に、持ち運び式照明「ヘキサゴン」開発で災害支援/日清医療食品
「ヘキサゴン」は複数の照明機器を地面に並べてヘリの着陸を誘導する照明システムである。既存品と比べて軽量で、専用キャリーバッグに入れて持ち運びが可能。価格は130万円(税別)で、空港や病院のヘリポートの夜間照明の電気工事が約1000万円かかるとされる中、コストを抑え導入しやすくした。
照明機器は電源ケーブルでつなぐ必要がなく単三アルカリ電池で発光するため設置が簡単。点灯はリモコンで操作でき使いやすい。岐阜大学発スタートアップ企業であるヒューロビントが製造して、ヒラタ学園が販売する。
すでに和歌山県には、災害時における防災ヘリなどの夜間運行体制を強化する目的で13セットを納入済だ。
〈何といっても設置が簡単〉
和歌山県の消防の方々へ商品説明を行ったヒラタ学園航空事業本部の飛騨清彦副本部長は、「コンパクトで保管が容易で、持ち運びできて便利。何といっても設置が簡単と高い評価を受けた。夜間の訓練や、孤立者の救助ポイントの標示など様々な形で使用されるそうだ」と購入者の声を紹介した。
ヒラタ学園の調べでは、90%以上のヘリポートで夜間照明が整備されておらず、兵庫県でも868ヶ所のヘリ離着陸場のうち夜間照明の整備は5ヶ所に過ぎないという。
「全ての市町村がヘキサゴンを持ち、災害発生時に活用されることが願いだ」(飛騨副本部長)。初年度の販売は100セット、10年で1000セットを目指す。
〈想定外“ゼロ”を目指して〉
「ヘキサゴン」の開発には、日清医療食品が平成30年7月豪雨で実施した災害支援の経験もその一つの要因だ。天候不順で夕刻しかヘリコプターを使用できなかったことから、夜間のヘリ活用を検討。ヒラタ学園から移動式夜間照明の開発を相談され、岐阜大学を紹介。約1年間で製品化に成功した。
日清医療食品の乳井真一取締役総務本部長は記者発表会で、平成30年7月豪雨や熊本地震における緊急対応や空輸実績を紹介しながら、災害対策の4つの柱として、
〈1〉通信手段の強化
〈2〉ヘリコプターの運用
〈3〉災害時献立の考案
〈4〉非常用備蓄倉庫の設置
――を具体的に紹介した。
そして「一番大事なことは、1日3度の食事を365日欠かさず提供することである。確実に、安全・安心な食事を提供することが当社の大きな使命。それは平時だけではなく、緊急時、災害時においてもそうだ。災害支援を強化し、想定外“ゼロ”を目指していく」と強調した。
日清医療食品・乳井真一取締役