アサヒグループ食品 コロナ禍で高まる市販介護食の需要に対応、「食べたくなる」介護食めざす
アサヒグループ食品のシニア食の2019年度販売実績は、前期比約24%増で着地した。好調の理由は、近年高まりをみせる介護食へのニーズへの対応と優れた商品設計にある。商品は開けてすぐに食べられるよう簡便性にこだわるとともに、彩りや味を工夫することで「食べたくなる」意欲を創出している。また、その日の献立や気分に合わせて選べるバラエティの豊富さも好評だ。
今秋の新商品としては、9月7日に「バランス献立」シリーズ初となる和風デザートを発売した。
アサヒグループ食品は開発経緯として「在宅介護が増えて家族の負担が高まり、簡便志向が増す一方、これまで見ていなかった家族の生活を見ることで“ちょっとした気遣い”など家族を見つめなおす機会となっている。そんな中、『食べたくなる』介護食としてデザートを提案した」と語る。事前に、介護家族がいる40歳以上の男女に対して要介護高齢者用デザート購入時の重視するポイントを調査し、「美味しい」「食べやすい」「栄養素」「好きなメニュー」などが上位に挙がったことから開発を進めた。
味は「やわらかようかん」「和風黒糖プリン」「なめらかかぼちゃプリン」の3種類で、日本料理「なだ万」と共同開発した。和の素材を使った、素材の風味を引き立てる上品な甘さが特徴。UDF規格「舌でつぶせる」に対応している。
アサヒグループ食品はこだわりとして「小豆やかぼちゃなど素材の美味しさが引き立つように、優しく奥深い味わいの『きび砂糖』を使用しており、硬さだけでなく、べたつき等にも配慮し、食べやすさを追求した」としている。
販売戦略については、「在宅市場は今後さらに拡大するものと予測しているが、これまで以上に多くのお客様に日常的に使用いただくためには、『美味しさ』のイメージの醸成が大切だ。今までの介護食はどちらかというと、安全面(食べやすさ)や調理の簡便性に注目されてきたが、これからは加えて『食べたくなる』介護食を目指していきたい」とおいしさへの注力を語り「話題喚起できる商品を開発していくことでカテゴリー全体の認知度を上げ、活性化していきたい」と意気込む。
11月頃には訪問看護や在宅介護者向けに、やわらか食の売れ筋商品である「鯛雑炊」や「なだ万」シリーズのサンプリングを実施し、商品の良さの更なる浸透を図る考えだ。