日本栄養士会「東京栄養サミット2021」でコミットメント発表、食・栄養の専門職を世界へ
中村丁次代表理事会長は、「世界では低栄養と過体重の二重負荷が起きている。新型コロナウイルスにより、その状況は深刻化し、飢餓は2019年に比べて15%増加し、世界人口の一割に相当する。特に、栄養の二重負荷はアジアとアフリカで深刻である」と現状を説明。
そこで「持続可能な栄養改善基礎基盤構築のための、栄養の専門職の要請と配置を行う」とし、「アジアを中心として、正式な依頼があった国に管理栄養士・栄養士等の教育や養成、栄養士制度の創設を行う。また、栄養士制度が既にある国に対しては、留学などを行い、スキルアップの支援を実施し、世界の栄養不良の撲滅に貢献する」と方針を述べた。
具体的には、2022年4月1日〜2030年3月31日の8か年を、
〈1〉当該国の情報収集、両国の人材交流およびカウンターパートナーの設定(2022〜2024)
〈2〉自立した学校給食制度の創設支援(2022〜2025)
〈3〉栄養士の教育・養成と栄養士制度の創設支援(2025〜2029)
〈4〉栄養士の就業支援(2029〜2030)
の4期に分けて活動を展開する。
このコミットメント実現の第一歩として、ラオス人民民主主義共和国の栄養改善プロジェクトが決定した。2022年から8年間を通して、支援を行う。
セミナーでは、野球の大谷翔平選手や鈴木誠也選手を栄養面からサポートする管理栄養士、大前恵氏が登壇。管理栄養士・栄養士の仕事の紹介として、トップアスリートの栄養意識に関するプレゼンテーションを行い、小学生アスリートにも対応できるバランスの良い「栄養フルコース型」の食事の工夫点も紹介した。
その他、戦後に国民の栄養不足を解消する目的で開発された栄養指導車(キッチンカー)に、国内外の栄養問題を解決するために新たに改良を加えた、日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)のニュートリション・エデュケーション・カーの展示を行った。