日清医療食品 栃木市に日産10万食の新工場、セントラルキッチン方式の食事提供拡大に猛進
日清医療食品は8月10日、栃木市千塚産業団地内に完成した日本最大級の新工場「ヘルスケアフードファクトリー関東」を報道関係者に公開した。同社ブランド「モバイルプラス」の専用工場として1日10万食を製造する。
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病院や介護施設の厨房で行っていた献立作成・発注・検収・下処理・調理等の業務を一手に引き受け、365日にわたり1日3食の食事を大量に製造し各施設に配送することで、高齢化に伴うメディカル給食の需要拡大や人手不足に対応することが狙いだ。工場は原材料管理や調理工程、搬送工程等の自動化をはじめ、食の品質管理、建物の災害対策などで最新鋭の設備を導入し、従業員の働きやすさも考慮した。11月に本格稼働する。
立林勝美社長(写真左から3人目)は「工場の生産能力は1日10万食。大量・多品種を製造する工場では国内最大級である。わが国の最大消費地である関東圏・首都圏を含めた東日本エリアをカバーする最重要生産拠点として、今後のビジネスの展開に大きく寄与するものと期待している」と工場の意義を語った。
日清医療食品は2001年に「ヘルスケアフードサービスセンター岩槻」を建設後、現在では名古屋、九州、京都、亀岡のセントラルキッチンを稼働。2017年には、これまでの最大15,000食を優に超える日産10万食の「ヘルスケアフードファクトリー亀岡」を建設して話題をさらった。その亀岡での経験を活かし、設計やオペレーションの改良を加えたのが「ヘルスケアフードファクトリー関東」である。
立林社長は、大規模なセントラルキッチンを新設している背景について「労働人口の減少で、サービスを支える人材確保はあらゆる業界で厳しくなってきている。この深刻な人手不足と高齢化に伴う給食需要の増大に対応するためには、現場スタッフの負担軽減となる仕組みと、患者や高齢者の食事を安定的に供給できる体制の構築が急務となっている」と説明。また「当社には、1年365日、1日も欠かすことなく食事サービスを提供する責務がある。従来のビジネスモデルに、このセントラルキッチン方式による食事提供を加えることは、メディカル給食業界においても大変有意義である。新工場竣工で、主に東日本エリアでのさらなる事業展開につなげていきたい」と意気込みを語った。
11月の稼働に向けて、栃木市近郊の住民など約300人を採用する予定で、市の雇用拡大も期待される。
松田靖史工場長(写真左から1人目)は今後の運営について、「従業員の方は新卒の方もいれば、中途採用の調理師やパート従業員、外国人技能実習生もいる。また、20代の方がいれば70代の方もいる。たくさんの方々が一緒に、長く働いていただくための環境づくりに努め、運営していきたい。また市役所やハローワークとの連携も強め、地元の雇用も強化したい」と意気込みを語った。働きやすさや快適な労働環境への配慮については、「加熱調理室などの室温が高くなる部屋に低温排気を活用し、夏場の給気温度を冷やす設備も導入。エントランスや休憩室のデザインにもこだわり、働く方が愛着や親しみを持てるようにした」と工夫点を語った。
工場で製造される「モバイルプラス」はセントラルキッチンでクックチル方式により調理し、契約先病院・介護施設へ配送する食事サービス。医療版と福祉版があり、食種はそれぞれ常食 ・全粥 ・減塩・エネルギーコントロール食の4種。ともに肉・魚・麺・納豆などの禁止食も対応する。
松田工場長は「モバイルプラスの品質は日々進化している。工場新設により導入施設を増やし、現場で行う作業を軽減するとともにお客様の多様なニーズに対応していく」と語った。今後は、新たにきざみ食のサービスも開始する予定。発注単位も5食単位から2食以上1食単位に変更し、導入しやすい商品設計に取り組む考えだ。