日本メディカル給食協会「第14回治療食等献立・調理技術コンテスト」4年ぶり開催
日本メディカル給食協会は8月5日、「第14回治療食等献立・調理技術コンテスト」の2次審査を光塩学園 光塩学園調理製菓専門学校(札幌)で開催した。協会が会員企業の献立作成および調理技術の向上を目的に隔年で開催する一大イベントだが、東京オリンピック・パラリンピックの開催と新型コロナウイルス感染症感染拡大防止の観点からさらに2年延期し、4年ぶりの開催となった。後援は、厚生労働省、日本医師会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本病院調理師協会、医療関連サービス振興会の7団体。
コンテストは3部門から成り、治療食部門「糖尿病」は8チーム、一般食部門「軽量老人ホームでの喜寿の御祝い弁当」は4チーム、行事食部門「院内保育園でのお誕生日会」は4チーム。1次審査の献立審査を突破した16チーム・64名は2次審査で調理実技・プレゼンテーションを行い、白熱した戦いを繰り広げた。
2次審査項目は主に2つだ。1つは、衛生、器具の取り扱い、計量等の調理技術面と、審査員による試食審査である。もう1つは、料理の出来上がりとプレゼンテーション。調理時間は治療食部門で2時間30分、一般食・行事食部門は2時間。プレゼンテーションは各チーム2分間である。メディカル給食は決められた時間内に正しく食事を提供することが求められるため、調理・プレゼンテーションともにタイムオーバーは大きく減点される。
厳正な審査が行われ、日総が治療食部門の厚生労働大臣賞の栄冠に輝いた。厚生労働省医政局長賞は、治療食部門でニッコクトラスト、一般食部門でニチダン、行事食部門でソシオフードサービスがそれぞれ受賞した。
日総の管理栄養士の豊島歩さんは「献立は、食物繊維などの基準値が決められていてそこに合わせるのが大変だったが、見た目もきれいでおいしいものを食べてもらいたいという一心で、いろんな案を考えて工夫した。この経験を活かして、後輩や次の世代につなげられるよう日々、努力していきたい」と喜びを語った。
〈全日本病院協会の中村康彦副会長「甲乙つけがたい審査、3年間頑張った皆さん全員に1位をあげたい」〉
審査委員長を務めた全日本病院協会の中村康彦副会長は「選手の皆さんがこれまで研鑽されてきたことをこの場でぶつけて一生懸命食事を作っていただいた。それを見て、点数をつけていいものか、甲乙つけがたかった。また、プレゼンテーションでは、患者様への思い、在宅で生活されることの思いなど、ものすごく親切に考えられた内容を聞いた。審査ということで順位はつけるが、(コロナ禍の)3年間頑張った皆さん全員に1位をあげたいと思う」と審査総評を述べ、「この3年間、医療関係の様々な施設で患者様や入所されている方々が何よりも楽しみにしている食事をしっかりと提供いただき、彼らの笑顔をとても大切にしていただいたことに心より感謝している。まだまだコロナ禍は続くが、患者と入所者さんに笑顔を提供できるようなおいしい食事を提供いただき、コロナにも打ち勝ってほしい」と期待を込めた。
平井英司会長(日総代表取締役)は「選手の皆さんの調理風景を見た。コロナ禍で、初めて使う厨房で、ましてコンテストという重圧を受けながら横で審査員の皆さんが点数をつけるプレッシャーのある環境でよく頑張っていただいた。見ていて、流石だなと思った」と奮闘を称え、「会社に戻ったら報告いただき各社の次のステップにつなげてほしい」とエールを送った。