日本給食サービス協会 第9回「心に残る給食の思い出」作文コンクール、給食のすばらしさや食品ロスをテーマにする作文も
日本給食サービス協会は12月10日、第9回「心に残る給食の思い出」作文コンクールのオンライン表彰式を大手町サンケイプラザで開催し、応募総数931作品から選ばれた10作品を表彰した。
コロナ禍に入り3年が経過した。黙食の徹底など、本来の学校給食の楽しさが制限されて久しいが、作文には子どもたちの給食に寄せる熱い思いでいっぱいだ。調理員や栄養教諭、担任の先生との交流や、給食を話題にした家族との触れ合い、友だちを思いやる気持ち、土地ごとの郷土食、調理員への感謝の心など、いろいろなテーマが取り上げられ、給食の時間がかけがえのない場となっていることがひしひしと伝わってくる。
〈農林水産大臣賞の作品、食品ロスについて今できることを呼びかける〉
文部科学大臣賞の作品『思い出のジャージャーめん』は、給食を通じて友だちの優しさを知り、絆を深めた思い出を表現している。ジャージャーめんが給食に出てくると、友だちへの申し訳なさとその温かさを思い出し、こんなふうに思えるのは「たくさんの友達と共に生活して給食を食べているからだ。学校生活ならではの貴重な体験だ」と給食のすばらしさを謳う。
農林水産大臣賞の作品『牛乳ロスのロス』は、親友のお母さんが給食室で働き始めたことから、日本の食品ロスの問題を知り、食品ロスを無くす様々な方法を考え、提案する作品。「世界では戦争や貧困などで食事がとれない人々が多くいます。今私たちにできることは、食べられることに感謝をし、残さずに食べることではないでしょうか」と呼びかける。
審査委員長を務めた全国学校栄養士協議会(全学栄)の長島美保子会長は、「文部科学大臣賞の作品は、題名がインパクトがあり興味をそそる。書き出しも上手く、表現が立体的で何が書いてあるのか、ワクワクしながら読んだ。友だちとのやり取りに心がほっこりした。また、農林水産大臣賞の作品は、コロナ禍で酪農家の苦労に心を寄せ、食品ロスを無くす方法について、いま私たちができることを呼びかけている。国民的課題とも言える大きな問題を自分ごととしてしっかり捉え、行動を起こそうとしている姿に心を打たれた」と講評を述べた。
〈農水省・須永課長 「来年以降、皆で給食を食べる楽しさを感じてほしい」〉
また、農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 外食・食文化課の須永新平課長は、「皆さんが作文に書いた給食の楽しさや感謝の気持ちは、時と場所を超えて多くの人々の共感を生む。このコンテストを通じて、文章を書くことや何かを表現することの意義を皆さんの中に見出してほしい」と呼びかけた。また、「皆さんが描く給食の情景描写には、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、黙食が求められている寂しさも漂っていた。みんなで学校給食を食べる楽しさを多くの小学生に感じてほしいと強く思う。来年以降、この雰囲気が一変することを期待している」と述べた。
〈西脇会長「作文は給食調理者の励みになる」〉
主催者である日本給食サービス協会の西脇司会長(日本ゼネラルフード会長)は「協会が作文コンクールを実施する意義は、次代を担う子どもたちの成長や食育の大切さを感じてもらうことに加え、給食の提供に携わっている調理員・栄養士さんたちが作文を読むことで大きな励みにつながるからだ。また、寒い冬の朝にも冷たい水で食材を洗い、暑い夏には汗をかきながら大きなお鍋で炒め物や煮物を作っている調理員がたくさん働いて毎日の給食ができていることを描いてほしいという想いもある」と意義を語り、「私も、入賞作品はもちろん数多くの応募作品を読んだ。子どもたちの給食に寄せる熱い思い、給食の楽しさや学校生活における給食の役割の重要性に改めて気づかせていただいた」と感謝を述べた。
作品は協会ホームページで読むことができる。