学校給食三団体が首相官邸を訪問、磯﨑内閣官房副長官に地方創生臨時交付金の継続求める
学校給食現場では、物価高騰による給食費の値上げを防ぎ保護者負担を軽減させるため、地方創生臨時交付金の活用が昨年以来、全国的に進んでいるが、令和5年度も交付金が継続するか、学校現場では不安の声が出ている。
そのような中、「学校給食物資開発流通研究協会(学流協)」「全国給食事業協同組合連合会(全給協)」「日本給食品連合会(日給連)」の学校給食関連三団体は3月16日、首相官邸を訪問し、令和5年度の学校給食費の保護者負担軽減に向けた対策について、陳情書を磯﨑仁彦参議院議員(内閣官房副長官)に提出し、交付金活用の継続を求めた。
陳情書では、「食材費の高騰は現在も進行中であり、令和5年の春の時点においても多くの食材の値上げについて食材原料事業者からリリースされている」ことから、「我々三団体が窓口となっている地方自治体、メニュー作成をされている栄養教諭、栄養士は令和5年度の食材費の工面について悩まれており、児童・生徒に提供する学校給食の質と量を維持するためには、令和4年度に支援いただいた対策の継続、または代替支援策を強く要望されている。原材料生産者、製品製造事業者、中間流通事業者のサプライチェーンでの対応は限界があり困難である」とし、引き続き「令和5年度の物価高騰等に対応した学校給食費の保護者負担軽減について方策を講じて頂きたい」と求めている。
日給連の中込武文会長(甲信食糧社長)は、磯﨑議員に陳情書を提出後、「昨年9月には、全国の9割ほどの1700自治体が交付金活用を申請した。その結果、子どもたちは急に食材が良くなり喜んでいた。しかしそれが今年の3月に終わってしまう。現場では、この後どうするのか悩む学校栄養士が多く、『質を落とすこともできず、この制度を続けてほしい』と、我々団体や市町村長などに求めている。ぜひ、この3月の大事な時に早く検討いただき、現場の方々に報告して欲しい」と求めた。
また、青木基博学流協副会長(名給社長)も「給食の量と質を落とさないよう、子どもたちの健康、発育のためということを重視していただき、地域格差がない形で進めていただいたらありがたい。昨年同様の補助金があれば、現場としては有効だ」と述べ、平井昌一全給協理事(日栄物産社長)も、「給食現場では、次の地方創生臨時交付金を期待している。本日、陳情に伺ったのは6人だが、後ろには市長がいて、市町村がいて、学校栄養士がいて、子どもたちがいる。我々は、皆さんからの重責を担い来ていると思っている、お願いしたい」と強調した。
磯﨑参議院議員は、「岸田総理からは、エネルギーや食料の値段は引き続き高い状態にあり、しっかり対応策をとるよう話があった。予備費があるので、それを使うことを含め、この年度内にどう対応していくか、まさに検討している。文科省から内閣府に、『まだ食品の高騰が続いている状況なので継続して欲しい』という要求もあった。これから、地方創生臨時交付金の積み増しを行うかどうか、継続して給食に使えるかどうか検討する。物価の動向にしっかり注視しながら適切に対応していきたい」と意欲を示し、「昨年、岸田総理と直接話したこともあり、今日の内容についても、直接、お見えになって強い要望があったことをしっかり伝えたい」と語った。
今後については、「予備費のことを考えると今年度、3月末までには何らかの方針が出るのではないか」と見通しを語った。