給食企業のアルスがデジタル化を推進、栄養ソフトの切り替えで働き方改革
働き方改革が叫ばれる中、コロナ禍によるテレワーク推進も相まって、デジタル化を推進する企業が給食業界でも増えてきている。
給食企業のアルスでは、コロナ禍前にカイテクノロジーの栄養・給食管理ソフト「Mr.献ダテマンWeb版」を導入した。WEB上で場所を選ばず操作でき、多拠点でデータを共有し、一元管理できるメリットを活かすことで、無駄な作業が無くなり、会社全体で仕事の生産性が向上。コロナ下ではスムーズに在宅ワークにシフトするなど、働き方改革を実現した。
「Mr.献ダテマンWeb版」の導入効果について、アルス本部の中谷香子さんと小林朋子さんに話を聞いた。
導入以前の状況を尋ねると、「従来のソフトは出力できる帳票の種類が限られ、出力にも時間がかかっていた。お客様が求めるフォーマットで出力できないなど、こちらの要望どおり活用できないため、作業が止まってしまうことや、現場に行かないと作業できないこともあった」と当時を振り返る。各事業所では、帳票の出力に時間がかかり、本部・事業所間の情報共有もスムーズにいかなかったという。
そのような状況が、ソフトの切り替えで一変する。WEB上で本部も事業所も手軽に情報を確認、共有できるようになった。導入効果を尋ねると、「遠隔操作できるクラウド機能の効果は絶大。導入前は、施設に行ってデータを変更しなければいけなかったので、商品の切り替え時には施設を転々と回る必要があったが、場所を選ばず操作できるので楽になった。献立にかける時間はかなり削減され、本部と現場の情報共有も無駄がなく円滑になった」と語る。
事業所の反応を尋ねると、「帳票の出力が早くなり、以前のソフトは1日ずつしか献立内容を出力できなかったが、1ヶ月まとめて出せるようになった。あと、ダウンロード予約機能があるので、時間があるときに、同時並行で他の入力作業ができ、事前準備ができて便利だ」とした。
WEBだといろいろな人がソフトに触れることができ、場所も時間も選ばないメリットがある。在宅ワークの増加など、働き方への影響はどうか。
「それは大いにある。コロナ下も、スムーズに在宅で仕事ができた。本部で栄養ソフトを使う11人のうち、5人は在宅勤務をしていて、残りの6人は状況に応じて、出社と在宅を使い分けている」と働き方改革の片鱗を見せた。
「緊急時には、家でパソコンを開けて作業できるか、できないかが大事になる。近年、日本では台風や大雪など自然災害が多く発生しており、給食業界は女性が多く、体調不良で出社が難しいことも起こりうるので、そうしたときでも自宅で仕事ができるのはとても良いことだと思う。従来であれば、出産後、出勤を求められると、就業継続が難しいことが多かったですが、自宅でも仕事が十分可能になったので、会社を辞めずに仕事を続けている社員もいる。家族の転勤などで遠方に引っ越しをせざるをえない社員も、これまでどおり同じ仕事ができる。働き手だけでなく、会社としてもメリットは大きい」。
原料費・エネルギー費高騰に伴い食材価格変更が相つぐなか、嬉しい機能もあるという。
「期間単価の設定機能には助かっている。この1,2年、値上げブームと呼ばれるほど物価が上昇しており、値上げの品種は多く、メーカーごとにそのタイミングもまちまちだ。例えば5月1日から値上げと言われても、先々の献立も作っているので、切り替えを忘れてしまうこともあり、その対応にとても困っていた。そこで、カイテクノロジーさんに相談をしたところ、新しい機能を付与していただき、期間を設定して単価を入力、変更予約ができるようになり、とっても楽になった」と語った。
カイテクノロジーの「Mr.献ダテマンWeb版」はコロナ下で導入が進み、、2020年の導入件数は879件だったが、2年後には2,068件と2.3倍に大きく伸長した。
需要が拡大している要因を尋ねると、「業界に先駆けてクラウドで動作するWeb版をリリースしたからだ。給食現場目線の分かりやすい操作性や、幅広い業態のニーズに応える管理機能を数多く搭載している点も好評だ。これからも、栄養士や管理栄養士のリモートワークの推進など、ウィズコロナ時代の新たな働き方の定着に貢献していきたい」と語った。
給食業界では、人手不足や食事の変化、食材高騰など劇的に環境が変化している。デジタル化し生産性を向上させることで働き方改革をすすめる企業が今後も増えてきそうだ。