食の原点に立ち返り、おいしさを追求する調理コンテストを富士産業が開催

優勝した田中裕之さんのメニュー3品(「牛肉のリエット クルトンサンド」、「コムタンスープ」、「ローストビーフ丼」)
優勝した田中裕之さんのメニュー3品(「牛肉のリエット クルトンサンド」、「コムタンスープ」、「ローストビーフ丼」)

人手不足などで効率性や省力化が求められる今だからこそ、食の原点に立ち返り、おいしさを追求する調理コンテストが2月28日に都内で開かれた。

開催したのは、病院や介護施設などを中心に全国約2000箇所の事業所で給食調理業務を行う富士産業だ。社員数は約18,000人。1日あたり約45万食を提供するメディカル給食事業を長年手がける企業である。

病院・介護施設の食事は、安全・安心はもちろん、栄養面やカロリーなども配慮されている。そして、食べる人の飲み込む能力に合わせて刻んだり、ムース状にするなど特別な加工が施されている。

また近年は、調理現場の人手不足が深刻化しているため、加工度の高い食品の利用を増やすなど調理業務の効率化や省力化が求められているが、コンテストではあえて、手作りのおいしさにこだわったという。

発案者である中村仁彦社長にその理由を尋ねると、「食事の原点は、おいしさになる。病院・介護施設の食事は様々な制約のもと調理をしなくてはならない」

「それは、給食調理においてはとても大事なことだが、おいしいものを作っても、加工したり、味を調整しなくてはいけないこともあり、料理人が本来の力を出せないことからやりがいを見出しにくいところもある。おいしさの原点に立ち返ることで、そうしたストレスを解放したい」と語った。

コンテストの名前は、「ZEPPIN」。通常、調理コンテストには、料理内容や使用食材や品数などに制限があり、その枠内で優越を競うものが大半だが、「ZEPPIN」は料理のテーマ、品数、使用食材に制限を設けていない。

設定金額も1人あたり2,000円と高く、調理時間も仕込み・調理合わせて約7時間と長い。調理師が自由に腕をふるえる環境が用意された条件下で、調理師が思う存分「おいしい」を極限まで追求できるコンテストだという。

コンテスト当日は全国から選ばれた9人の選手が、グループで一番おいしい料理を作れる料理人の称号獲得を目指し、料理の技術を競い合った。

優勝した中国・四国ブロック代表の田中裕之さん(右)と中村仁彦社長
優勝した中国・四国ブロック代表の田中裕之さん(右)と中村仁彦社長

調理後、審査結果の発表となり、中国・四国ブロック代表の田中裕之さんが優勝した。メニューは、「牛肉のリエット クルトンサンド」、「コムタンスープ」、「ローストビーフ丼」、「ピスタチオ風味の燃えるアイス」の4品。

審査員の吉川さんは「田中さんの料理は演出がすばらしく、どんどん味が変化するところに惹かれた」と評価した。「牛肉のリエット クルトンサンド」は食べる直前で、泡立てた卵黄バブルソースをかけ、「ピスタチオ風味の燃えるアイス」も食べる直前にバーナーでアイスクリームをあぶり、フランベしたカルヴァドスとブルーベリーソースをかけるパフォーマンスを行った。

田中さんは、「まさか優勝できるとは思わなかったので頭が真っ白だが、すごくうれしい。『ZEPPIN』に出ることで改めて、おいしいって何だろう、喜んでいただける料理って何だろうと考える機会になり、自分自身も成長できたと思う」と語った。

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月刊 メニューアイディア

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2016年には、全国学校栄養士協議会協力の『子どもが好んで保護者も納得!学校給食アレンジレシピ集』。
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2019年には、東京五輪に向けて、日本栄養士会の鈴木志保子副会長監修『アスリートとスポーツ愛好家のためのレシピ』。
2020年には、平成30年間の給食業界の動向をまとめた「平成時代の給食から令和へ」。
2021年には、「打倒コロナ!免疫力アップレシピ」。
2022年には、「給食とSDGs」。
2023年には、「次世代に伝えたい学校給食」。

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