外食3月期、増収営業増益企業は47社中8社 人手不足や人件費上昇が足かせ

外食企業の2017年3月期決算が出揃った。増収営業増益企業は47社中8社で、前期の45社中22社を大きく下回った。人手不足を起因とする人件費の上昇などコストアップが各社の利益を押し下げたもよう。但し、想定よりも円安が進まなかったことによる仕入れコストの抑制が複数企業の原価低減に繋がっており、対売上高営業利益率の平均は3.5%で着地。前期(3.2%)から0.3ポイント改善した。

本紙は主な上場外食企業の17年3月期決算をまとめた。上位10社のうち、増収営業増益で着地したのは、トップのゼンショーホールディングス(以下、HD)と松屋フーズの2社のみ。牛丼チェーンを主力に展開する両社は、牛肉の仕入れコストが前期と比較し低下したことで原価率の上昇が改善、増収大幅増益での着地に繋がった。両社の当期純利益はゼンショーHDが10期ぶり、松屋フーズが14期ぶりに過去最高を更新した。

ゼンショーHDの増益については、小売業のフジタコーポレーションの株式取得と、主力の「すき家」を筆頭とする店舗増(純増で85店舗)も要因となった。なお同社の既存店売上高は0.5%減。「すき家」が健康感のある商品の投入などにより2.3%増となるも、ファミリーレストランの「ココス」「ジョリーパスタ」、回転寿司の「はま寿司」が前年割れとなり、トータルでは下回った。続くコロワイドは、微増収大幅減益となった。成長戦略としてM&Aを引き続き積極的に進めており期中に、アメリカ・カナダにおける「牛角」事業、フレッシュネスバーガー事業の全株式を取得し、微増収で着地。大幅減益の主な要因は、前期から続く回転寿司の「かっぱ寿司」の苦戦と、レストラン業態の「ステーキ宮」の低迷で、全業態の既存店(直営店)売上高は4.5%減となった。「かっぱ寿司」については昨年8月にリブランドを行うも苦戦、キャンペーンも不発だったため、2月に再度メニューの見直しを行ったところ3月以降、既存店が前年を上回って推移するなど持ち直しを見せ始めている。また近年、居酒屋業態は苦戦が続いていたものの、創業業態「甘太郎」で肉料理を中心にブラッシュアップを進めたところ既存店売上高は100%まで回復、収益性の高い「やきとりセンター」もコアブランドに育成することで、居酒屋業態の収益改善に努めていく。

同じく居酒屋を主体に展開するワタミでは、売却した介護事業の連結除外影響により売上高は減収となるも3期ぶりに営業・経常利益の黒字化を達成。居酒屋事業については、不採算店舗の撤退や銘柄鶏をメーンとする「ミライザカ」「三代目鳥メロ」といった専門性のある業態へと転換を進めたことで、既存店は3.3%増まで回復を遂げた。

うどんチェーン「丸亀製麺」が主力のトリドールは増収減益で着地。売上高は堅調に推移し増収も原価率および人件費率の上昇により営業利益はわずかに前年を下回った。なお「丸亀製麺」の既存店売上高は高単価メニューが好調に推移し、31カ月連続で前年超えを達成している。

ファーストフード業態の2社(日本KFCHD、モスフードサービス)はともに微減収増益で着地。日本KFCHDについては、売上高がほぼ横ばいも営業利益はピザハット事業の黒字転換により損益が大幅に改善した。但し18年3月期決算では、6月にピザハット事業の売却が決定しているため、売上高、営業利益ともに2ケタ減を見込む。モスフードサービスについては、既存店は前年並みも想定よりも円安が進まなかったことで仕入れコストが減少、営業利益は増加した。

11位以下の中堅企業で、増収営業増益となったのは、木曽路、アスラポート・ダイニング、力の源ホールディングス、ジョリーパスタなど。木曽路は業務改革推進で旗艦のしゃぶしゃぶ「木曽路」が回復、アスラポート・ダイニングは前期末に子会社化したラーメンのどさん子234店舗が加わるなどM&Aにより、収益は前期を大幅に上回った。