牛カツ専門店「京都勝牛」の急成長を支える「全員人事部化計画」とは/ゴリップ
牛カツ専門店「京都勝牛」の運営で知られるゴリップ(京都市)は、急成長を支える独自の人材戦略として「全員人事部化計画」を採用する。社員の名刺に、もれなく「人材発掘担当」の役職を付け、全社員が人事部としての役割と採用目標を持つ。一般にリファーラル・リクルーティングと呼ばれる同制度は、離職率の低下と採用コストの低下にも貢献。近い将来、株式上場も見据える同社は、共感度の高い人材の獲得に向け、全社員が即戦力となる人材の獲得を目指している。
全社員の名刺に「人材発掘担当」を記載
5月23日発行の日経MJで発表された「第44回飲食業調査」において、「店舗売上高伸び率ランキング1位」を獲得するなど同社は、昨年1年間で急成長を遂げた。
18年度(7月期)総店舗売上高は前年比26.7%増の79億円、総店舗数は34.1%増の106店舗になり、今後も拡大していく意向だ。こうした急成長を支えるのが、独自の人材戦略「全員人事部化計画」で、2005年の創業時より、紹介制度による採用を実施していたが、15年にそれを体系化させた。
人材戦略部の周東徹部長は、「成長期だからこそ、条件面ではなく、人や理念、組織風土で選ぶ、共感度の高い人材の獲得が何より重要だ」と、「全員人事部化計画」の導入経緯を語る。全社員が人事部としての役割と採用目標を持ち、採用した社員と入社した社員の両者に5万円を支給するなど、インセンティブも設けている。
人材戦略部・周東徹部長
「人材紹介会社を通した場合、一社員80万円程度の経費がかかる。『全員人事部化計画』の導入により、採用コストは低下、社員が自ら人事として、当社への共感度の高い友人・知人を採用するため離職率の低下にも繋がっている」(周東氏)。
入社する社員の2割程度を同制度により採用することが目標だ。同社は2028年度を目途に売上高1000億円、海外含め1ブランドで1000店舗を目標に据えている。こうした背景もあり、近年、積極的に採用を行うのが海外人材の獲得だ。韓国に「京都勝牛」を14店舗展開していることから、自社ブランド認知度の高い韓国現地での採用を積極化させている。「日本で働きたい」と考える韓国人は多く、ここでも同社への共感度の高い社員を採用。将来的には、全社員の3割程度の外国人を採用したい考えだ。また急成長に伴い、新卒社員の採用も積極化させており18年度は40人が入社。マニュアル作成・共有ツール「Teachme Biz」を導入するなど、早期に即戦力となる社員の育成にも取り組んでいる。
〈食品産業新聞 2018年8月2日付より〉