“てんや”店舗に完全キャッシュレス決済導入、訪日外国人客に対応/「大江戸てんや 浅草雷門店」
ロイヤルホールディングス傘下のテン コーポレーションは去る2日、「大江戸てんや 浅草雷門店」(東京都台東区)をオープンした。同社が展開する「天丼てんや」の新タイプの店舗で、完全キャッシュレス決済を導入するなどIT投資を行うことで働きやすい職場づくりと顧客満足度の向上を図る。
生産性向上と働き方改革を目指すロイヤルホールディングスは昨年11月、実験店舗「GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店」をオープンしており、同店で培った研究・開発の成果を実ブランドの「天丼てんや」に取り込んだ。オリジナルメニューの導入と多言語対応を図り、多くの訪日外国人客を呼び込む方針だ。
「天丼てんや浅草雷門」からのリニューアル店舗としてオープンした同店の特長は、
〈1〉店舗業務のIT化
〈2〉ユニバーサルなキッチンオペレーション
〈3〉訪日外国人対応
――の3つ。店舗システムは、マウント・スクエアと協業し、共同開発したシステムを使用した。オープンを前に実施した内覧会でテン コーポレーションの村松益次社長は、「IT投資によりスタッフの作業時間は約12%減る。拡大する外国人従業員に対応を図るため、キッチンディスプレイを導入しており、人材の短期戦力化と、天ぷらの品質向上につなげていきたい」と話した。
〈1〉では、4カ国語(英語、中国語、韓国語、日本語)に対応する多言語タブレットで注文を受け、支払いを完全キャッシュレス化。オーダー管理とレジ締め精算が不要となり管理業務が軽減される。
4カ国語対応に対応する多言語タブレット
また〈2〉では、厨房の3箇所(揚げ場、盛り場、セッティングカウンター)にキッチンディスプレイを設置。新たに開発したキッチンサポートシステムにより、ディスプレイには商品名ではなく調理指示を表示し、商品ごとに必要な天ぷら食材の組合せや数、盛り付け方法をイラストで表示するなど、シニアや外国人など多様な人材が働きやすいユニバーサルな環境づくりを推進する。
リニューアル前の「天丼てんや 浅草雷門店」は、訪日外国人客が約9割を占め、現金以外の決済を要望する来店客も多くいたため〈3〉では、支払いをクレジット、電子マネー、中国モバイル決済の完全キャッシュレス化とした。メニューは同店オリジナルの松・竹・梅の天丼と野菜天丼に集約し効率化を図り、テイクアウト専用の串天も用意した。
〈食品産業新聞 2018年10月8日付より〉