マクドナルド好決算、すかいらーくHD・ロイヤルHDは増収減益/外食18年12月期

日本マクドナルドは「夜マック」などが奏功、5期振りに全店売上高5000憶円を達成した
外食企業の2018年11月・12月期決算が出揃った。11社中、増収企業は9社、営業増益企業は4社となり、前期(増収企業10社、営業増益企業6社)から減少した。原材料費・物流費の高騰と人手不足を起因とする人件費の上昇が各社利益を押し下げ、豪雨や地震など自然災害の影響が一部企業の客数減につながった。

全店売上高が5期振りに5000憶円を達成し、好決算に沸いたのは日本マクドナルドホールディングス(以下、HD)。ビジネス基盤の強化と、成長のための店舗と人材への投資を積極的に行った結果、既存店売上高は前期比6.9%増となった。「夜マック」の導入や消費者参加型プロモーションの投入などが功を奏し、客数も4.1%増と大幅な増加につながった。19年度は上場以来最高となる、全店売上高5510憶円を目指す。値頃感のある商品を充実させる「バリュー」の追求と、テーブルデリバリーやモバイルオーダーといった「未来型店舗体験」への投資で、回復から成長へとつなげていく。

外食企業の2018年12月期決算概要

一方、ファミリーレストランを主力に展開するすかいらーくHDとロイヤルHDは、両社とも増収営業減益で着地した。 
 
すかいらーくHDは、既存店売上高が0.4%増と前期を上回り、新規出店(89店舗)や好調なデリバリー事業が増収をけん引したものの営業利益は前期比2ケタ減となった。減益の主要因は人件費増(19億円)と株主優待影響(34億円)。期中に筆頭株主だったベインキャピタルが保有する全株式を売却したことで個人株主が大幅に増加、株主優待の利用率も増加したため利益に影響したという。19年度は株主優待影響による利益影響は減少する予想だが、人件費増と消費増税などによる下振れリスクで増収減益を見込む。
 
ロイヤルHDは、前期からの出店により増収を達成したが、出店や生産性向上目的の投資実行に加え、想定を超える災害の影響もあり減益で着地した。主力の外食事業は、2期連続で既存店売上高の前年割れが続くてんや事業の減収、専門店などの減益をロイヤルホスト事業で補えず、セグメント全体では減収減益となった。
 
ペッパーフードサービスは、いきなり!ステーキ事業の新規出店200店舗(直営80店舗、FC120店舗)を目標に業績の拡大に取り組んだ。同事業は211店舗の新規出店を達成し、期末店舗数は397店舗となり売上高、営業利益は増収増益となったが、純損失は1億円の赤字で着地。17年に進出した米国子会社運営店舗の営業不振により、収益性が見込めない店舗を早期に撤退する予定にあることが影響した。子会社運営の11店舗のうち7店舗を閉店、残り4店舗のうち2店舗を米国で好調な「ペッパーランチ」へ業態転換する予定。
 
主力業態「かつや」が7年ぶりに既存店売上高の前年割れとなったアークランドサービスHDは、成長ドライバーのから揚げ「からやま」がけん引し増収営業増益を達成した。前期に続き好決算を維持した串カツ田中は、56店舗を新規に出店。既存店売上高についても2.6%増と大きく拡大した。全店禁煙にした6月以降は、ほぼ全ての月で客数100%超えを達成しており、リピート率の高いファミリー層の来店誘因に繋がったという。19年度も64店舗の新規出店を予定し、着地282店舗を見込む。
 
19年6月期では、物語コーポレーションが前期に続き増収増益を確保した。「焼肉きんぐ」を中心に既存店売上高は拡大、店舗数増加が収益の拡大に繋がった。
 
〈食品産業新聞 2019年2月28日号〉