ピエトロ、コロナ禍でレストラン苦境も冷食売上は大幅増、物販・デリバリーを強化
また、4年ぶりのレストラン新業態「PASTA&TAPASPIETRO 豊洲店(パスタ アンド タパス ピエトロ)」(東京都江東区)を5月にオープンした。ディナーの利用を意識したメニュー提案に力を注ぎ、近隣で働く人や住民からは支持を集めつつある。
同社執行役員の広報担当に現状を聞いた。
――1〜6月の動向は
2018年度に不採算店を整理し、2019年度の既存の直営レストランは今年2月までは堅調だった。売上は前年を超えていたが、新型コロナウイルスの影響で3月の売上は40%近く落ち込んだ。2019年度全体のレストラン事業の売上は前年度比5.9%減となった。
20年度も4月は緊急事態宣言の発令で直営店は16店舗中9店を39〜54日もの間、休業にした。フランチャイズ店やスープ専門店を含めると全31店舗中15店舗を休業し、他の店舗も時短での営業を余儀なくされた。売上も、既存の直営店は前年同月比で80%減となったため、物販やテイクアウトを強化した。
5月末に緊急事態宣言は解除され、全店で営業を再開した。時短営業も緩和され、6月には前年比40%減まで回復できた。ただし、7月は感染者が拡大しつつある。厳しくなるかもしれない。
――新型コロナで店舗の営業にどのような影響があったか
感染拡大の防止策を店内外で重点的に行った。従業員は検温やマスク着用を徹底した。店頭にはアルコール消毒液を置き、客席は間隔を空けるようにした。アクリル板の設置なども行っている。
先ほども少し触れたが、今回の感染拡大により店内飲食は減っている。特に都心の大型施設内の店はディナータイムで苦戦している。そのため、物販をさらに強化するほか、ホットパスタなどのテイクアウトを開始した。
また、各店舗のスペースに合わせて、スープやドレッシング、パスタソースなどの物販を強化した。特にパスタソースは、スーパーで品切れが続いていたため、直営店での売上につながった。
流通向けの冷凍食品は、4〜6月で前年比2.8倍の売上に拡大したが、国立店など一部店舗でも冷凍ケースを設置して、冷凍食品を販売している。またオンライン通販での販売も好調だ。これらの取り組みで、物販の売上比率が高くなっており、今後はより比率を上げたい。
テイクアウトは、4月から直営全店に拡大した。今まで販売していたピザに加えて、ホットパスタやサラダも始めた。商品は、21アイテムをそろえた。
一部店舗はウーバーイーツの利用も進めており、本店では6月の売上の約9%がデリバリーだ。
――豊洲に新業態をオープン。動向は
「パスタアンドタパス ピエトロ」は、4月オープン予定だったが、今回のコロナで5月29日のオープンになった。新しい業態として、タパスメニューなどディナーに注力している。客単価も夜は3,000円以上を想定した業態だ。
しかし、入居している商業施設の営業時間がコロナの影響で短くなっている。外でお酒を楽しむことも減ってしまったため、まだ想定していたような方に来ていただけていない。そのため、現在は、ランチタイムに力を注いでいる。
また、テイクアウトも始めた。より広い方に使ってもらえればと思う。今はパスタとピザのみだが、ゆくゆくはタパスメニューも追加できればと考えている。試験的にデリバリーも8月から予定している。店を知ってもらえれば良い売り上げになるのでは。
――今後については
外出自粛を再度呼び掛ける可能性があるなど、先行きは不透明だ。安全面に注意しつつ、テイクアウトやデリバリー、物販それぞれをさらに強めて行きたい。
〈食品産業新聞 2020年8月6日付より〉