くら寿司 10月売上30%増、「鬼滅の刃」「無限くら寿司」で大躍進、コロナ禍に打ち勝つ
9月から10月にかけて開催した、人気アニメ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」とのコラボキャンペーンが、大きな成果を上げた。さらに、10月19日から参加した「Go To Eatキャンペーン」のポイント還元も、ネット上で“無限くら寿司”と呼ばれるなど注目を浴び、集客につながった。10月の既存店客数は前年同月比115.4%で、2月以来、8か月ぶりの100%超を達成している。
「鬼滅の刃」キャンペーンを開始した9月の実績では、既存店売上が前年同月比107.9%で、2月以来7か月ぶりの100%超。既存店客数は97.2%と、前年実績まであと一歩のところまでは迫っていた。10月16日に公開された映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が大きな注目を浴びたことが“最後のひと押し”以上の効果を発揮し、大躍進につながった。
「くら寿司」店舗(「鬼滅の刃」キャンペーン期間中に撮影)
〈9月実績〉「くら寿司」既存店売上高が7か月ぶり100%超、「鬼滅の刃」コラボ奏功、コロナ対策の好影響も
「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は、公開3日で観客動員数342万人、興行収入46億円を超え、平日・土日それぞれにおける国内公開映画の観客動員・興行収入で歴代1位の座を獲得。社会現象としてテレビの報道番組などでも取り上げられるようになり、くら寿司にも、映画公開日の頃から多くの取材依頼があったという。
くら寿司の「鬼滅の刃」キャンペーンでは、「鬼滅の刃にぎり 三種盛り」などのコラボメニュー提供や、「鬼滅の刃」デザインのクリアファイル・下敷きの無料配布、ゲームで当たりが出ると景品がもらえる「ビッくらポン!」へのグッズ投入などを実施。それぞれの施策がファンの心をつかみ、客数が大きく増加した。
「くら寿司×鬼滅の刃」プレゼントのクリアファイル第1弾と「ビッくらポン!」景品
くら寿司では今回のキャンペーンの“プレキャンペーン”という位置づけで、6月にも「鬼滅の刃」とコラボしており、その際にも“平日で過去最高の全店売上高”という大きな成果を得ている。9月~10月のキャンペーンは、6月のプレキャンペーンより大幅に内容拡充しているが、これは“プレキャンペーンで成果を得たから拡充した”というわけではなく、従来からの予定通りに実施したものだという。
くら寿司の広報は食品産業新聞社の取材に、「コロナ禍による外出自粛で配信動画を視聴する機会が増えたこともあってか、5月初旬には『鬼滅の刃』に注目が集まってきているという感触はあった。ただ、ここまで大きな話題になることは予想していなかった」などと語った。
〈料金を“ほぼ全額”還元も、「GoToイート」が“無限くら寿司”として話題化〉
くら寿司が10月19日から参加している「Go To Eatキャンペーン」は、農林水産省が実施しているキャンペーンで、感染予防対策に取り組みむ飲食店と、食材を供給する農林漁業者を支援する目的で、登録飲食店で使えるプレミアム付食事券の発行や、オンライン飲食予約の利用によるポイント付与などを行うもの。
くら寿司の「GoToイート」では、公式アプリから遷移できるオンライン飲食予約サイト「EPARK」の専用ページで来店予約することで、1人あたりランチで500円分、ディナー利用で1000円分、次回以降の食事で利用できるポイントが付与される。
くら寿司「Go To Eatキャンペーン」イメージ
くら寿司の客単価は約1000円。ディナーで普段どおりの食事をすれば、全額に近いポイントが還元される。これが「無限くら寿司」と呼ばれてSNSなどで話題化し、店舗によっては、食事時間帯の予約がかなり先まで埋まる状況になっている。
〈先駆者としての取り組みが呼び込んだ成果〉
くら寿司では、この10月の実績について、以前から業界の先駆者として進めてきた、衛生対策やネット予約の取り組みが呼び込んだ成果として捉えているようだ。「抗菌寿司カバー」などの衛生対策が広く知られているからこそ、「鬼滅の刃」ファンも安心して店を訪れることができた。また、「EPARK」の予約システムは10年以上も前、サービス起ち上げの頃から導入しており、「GoToイート」へのスムーズな対応ができたという。
くら寿司でも、2020年は多くの外食企業と同様、コロナ禍の影響を大きく受けてきたが、その中での大躍進。「鬼滅の刃」キャンペーンは10月で終了したが、11月に入っても、くら寿司の各店舗には多くの予約が入っており、好調は継続できそうだ。