外食12月期 高単価メニューと高付加価値業態が牽引、前期に続き7社で増収増益

日本マクドナルドホールディングスの大幅赤字を除き、外食企業の2015年12月期決算は概ね好調に推移した。12社中、増収増益企業は7社で、昨年と同数だった。消費者マインドの持ち直しに足踏みがみられる中、円安による物価の上昇や人材の確保など、外食産業にとっては依然として厳しい環境下にあったが、ファミリーレストラン(FR)を中心に高単価メニューが好調、専門性を高めた高付加価値業態も客足を掴んだ。

大手3社の業績は、明暗が別れた。FRを主力に展開するすかいらーくとロイヤルホールディングスは増収増益、日本マクドナルドHDは減収大幅赤字となった。

「ガスト」などを手掛けるすかいらーくは、高単価メニューが好調に推移、リモデルやブランド転換などが奏功し、増収増益を達成した。全業態トータルの既存店売上高は前期比2・6%増。円安の影響や食材市場価格の上昇をグループのスケールメリット(15年12月末の店舗数は3036店)を活かした購買・加工・物流の最適化などでカバーし、粗利率も約7割を維持した。

4期連続の増収増益となったロイヤルHDは、機内食を除く外食、コントラクト、ホテル事業がそれぞれ増益となった。主力のFR「ロイヤルホスト」が苦戦も天丼「てんや」が好調、インバウンドを掴んだホテル事業が好業績をけん引した。

一方、日本マクドナルドHDは、信頼回復に向けた「一時的な投資・費用」の計上や戦略的閉店などから前期に続き、15年通期も最終赤字となった。ただし、下期以降はファミリー層が戻り、1店舗当たりの売上高も増加傾向で推移。直近1月の既存店売上高は35%増となった。店舗改装を加速させるなど客数減に歯止めをかけ、16年12月期業績については、3期ぶりの黒字転換を目指す。

続くFRのジョイフルの既存店売上高は客数、客単価とともに前年より増加。利益は新規出店(直営、FC合計で32店舗)に伴う販管費の増加などにより減益となった。

居酒屋業態が苦戦を強いられている中、バー・レストランを主体に展開するダイナックは、既存店売上高、客数が前年を上回り、4期連続の増収増益を達成。漁港直送の鮮魚酒場「魚盛り」など専門性の高い高付加価値業態やゴルフレストラン、「道の駅」など受託ビジネスが成長を支えた。

かつ丼「かつや」を主力に展開するアークランドサービスも既存店は前年を上回って推移し、10期連続の増収増益を達成。食材原価や人件費の上昇を「かつや」の平均月商の引き上げがカバーした。ペッパーフードサービスは、立ち食いの「いきなりステーキ」が好調。同業態は新規出店48店舗、トータルで77店舗となった。

一方、当期純利益が赤字となった持ち帰り寿司の小僧寿しは黒字転換の実現を目指し、不採算店を閉めた影響などで減収、レストラン業態を複数展開するグローバルダイニングも同じく赤字店舗の閉鎖で減収となった。16年6月期中間を見ると、焼肉の物語コーポレーションが増収大幅増益となった。