清掃不要の厨房機器で「3K」排除、サイゼリヤ・ハイサーブウエノ合弁会社CSsTの「グリスシールド」「フリーフラット厨房」
サイゼリヤは2022年5月、厨房機器の開発・販売を行うハイサーブウエノと合弁会社「CSsT」を設立した。CSsTでは、清掃不要の厨房機器「グリスシールド(GS)」と、GS導入によって厨房と客席間の段差をなくすシステム「フリーフラット厨房」を販売している。
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「GS」は床置き式グリストラップの一種で、油脂や残飯を自動回収し、従業員の3K(臭い・汚い・危険)作業をなくす機器。一見地味だが、飲食店従業員が嫌がる清掃作業のストレスを最小限にするという。
一方「フリーフラット厨房」は、排水をポンプで行うことから、厨房の“床上げ”を不要にするシステム。床上げによって発生する、段差(スロープ)を起因とする従業員の身体的負荷を削減するほか、厨房レイアウトの自由度を上げる。
一般的に業務用厨房では、排水に含まれる油脂や残飯などが排水管を詰まらせたり、下水に直接流れ込んだりするのを防ぐ、油脂分離阻集器「グリストラップ」の設置が義務づけられている。
〈“汚い・臭い”グリストラップ清掃は敬遠されてきた〉
この「グリストラップ」の汚れを放置していると、害虫や悪臭の発生原因になるほか、油脂やヘドロで詰まりを引き起こすため、定期的な清掃が必要だ。しかし、臭い・汚いなどの理由から、従業員にとって大きな負担になっていた。
また、従来の「グリストラップ」は、厨房の床下に設置するため、スムーズに汚水を流すには厨房エリアを排水口付近に設置し、「床上げ」して傾斜を作る必要があった。そのため、店舗レイアウトや物件選びが制約されるほか、2段高い厨房エリアと客席エリアを行き来する従業員の足の負担にもなるなど、さまざまな課題を抱えていた。
〈GS導入で清掃時間削減、油から「石けん」リサイクルも〉
CSsTによると、それらの課題を解決する「GS」や「フリーフラット厨房」は、これまでのテスト導入企業のすべてで本格導入に至った。ある大手ステーキハウスでは、店舗の清掃時間が6分の1まで削減できたという。GSの売上計画は初年度が58台で、5年目には469台を予定している。各業態・設置形態などの特性に合わせてテストや導入を進めるとともに、メンテナンス体制を全国レベルに広げる準備を進める方針だ。また、回収した油脂を石けんにリサイクルする取り組みも進めている。
サイゼリヤでは食品産業新聞社の取材に、厨房機器の販売に取り組む理由を、サイゼリヤの掲げる“食堂業の産業化”の一環だと説明。サイゼリヤは一般的な飲食チェーンと比較して、客数に対する従業員数が少ないなど“効率性の高さ”が特徴だ。効率性の向上には、単に機械化を進めるだけではなく、「従業員の動線を考慮したキッチン・客席の備品配置」「オペレーション効率化」など、商品の提供や退店に至るまでの時間を秒単位で削減する取り組みを実施している。
サイゼリヤは、「当社で開発した店舗設備と技術を国内の飲食店へ展開することで、食堂業に従事する人々の笑顔を増やし、当社のビジョンである『食堂業の産業化』を推進していきます」などとしている。