人手不足解消に貢献する厨房機器、短時間で調理が可能な加熱機やボタンを押すだけの自動調理機も/「厨房設備機器展」

外食・給食現場では、優れた厨房機器の導入で人手不足の問題を解消する動きがある。2月4日から7日まで東京ビッグサイトで開かれた「厨房設備機器展」には、そうした需要に応える多機能で省力化を図る機器が多数展示された。
タニコーは、「涼厨」仕様のスチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)を紹介した。スチコンとは蒸気と熱風を庫内に対流させることで、「焼く」「煮る」「炒める」「揚げる」などのさまざまな調理を1台でできる多機能調理器だ。
タニコーのスチコンはパワフルスチームで食材への加熱を短時間に行え、調理時間も短縮。1台で複数の調理を行えることや調理時間が短いことから調理現場の人手不足を解消するが、それだけではない。外食飲食店では、調理経験があまりないアルバイトが即戦力として働く場合もある。
そうした方でも安全に調理ができるように次の2つの特性がある。1つは、機器表面が熱くない「涼厨」仕様であること。やけどの心配がなく、室温を25℃以下に保ち衛生的な厨房を実現する。
もう1つは、シンプルで使いやすい操作パネル。家電のように直感的に操作できて機能が充実。文字は視認性・可読性に優れて読みやすいユニバーサルデザインフォントを採用している。
ブース担当者は、「機能性だけでは、この人手不足に対応できない。今いる人でお店を回さなくてはいけないこともあるから、誰でも調理ができるように、安全性が高く標準化に寄与する機器が求められている」とコメントした。

ラショナル・ジャパンは、スチコンiCombi Proと多機能調理器iVario Proの調理実演を通して、簡単調理で高品質な料理の提供を呼びかけた。
2つの機器はタッチディスプレイの操作だけで、あとは調理システムが調理を監視し進行する。操作が必要であれば、調理システムが通知してくれるので、つきっきりになる必要はなく別の作業が行える。
事前に調理プログラムを登録できるので、誰が調理しても同じ品質の料理を提供でき、仕上がりにばらつきは生まれない。プログラム登録もアイコンやボタンをタッチするだけなので、研修や学習の時間も短縮できる。
調理実演では、巨大なモニターを機器上に設置し、ディスプレイの操作画面と調理画面を大きく投影して、簡単調理をわかりやすく紹介した。
ブース担当者は、「ヨーロッパやアメリカのたくさんの調理現場の人手不足を解消してきた機器だ。海外では調理は機械に任せるのが主流。日本も徐々に人件費が上がっており、便利な調理機器を使ってほしい。熟練の技術や経験がなくても、入社してすぐでも、ボタンを押すだけで調理ができる。人を選ばないことも重要だ」と語った。
ブースでは、来場者が実際に多機能調理器iVario Proを触って調理できる機会も提供した。

ニチワ電機は、病院・福祉施設や外食、ホテル、旅館に向けて「リヒートウォーマーキャビネット」を紹介した。
一台で料理の冷蔵・再加熱・保温の全てができる機器で、提供前日の夜に盛り付けた料理を翌朝まで冷蔵し、当日朝に再加熱と保温をすることで、温かい料理を自動で調理提供できる機器だ。
熱風と蒸気を庫内に循環させるスチコン方式の採用により、食材の乾燥や加熱ムラが少なく、ごはんも固くなりにくいことが特徴。利用者の中には「提供当日の業務量が減った。出勤時間が1時間遅くて済む」との声があったという。
ブース担当者は「現場の要望に合わせて、製品をカスタマイズして提供できる。YouTubeで製品の魅力を紹介しているので、一度確認してほしい」と語った。