キユーピー長南社長、理念を大切にした経営を実践
2月24日に三宅峰三郎前社長に代わり社長に就任した長南収氏(=写真)。「社長に就任してからはこれまで会えなかった人にも会えるなど、環境が変わった。一方で、グループ2万5,000人のトップとして緊張感もある」と率直な心情をあらわす。
社長として社員に伝えている3つの方針がある。一つは、理念を大切にした経営をあらためて実践する。「理念とは社是である『楽業偕悦』であり、3つの社訓となる。私が入社した80年当時、食品メーカーの売上で25位程度だったが、今は11位くらい。また会社存続の危機も3度あったが、乗り越えた。この要因は商品力、ブランド力の向上もあるが、理念を大切にしたことだと思う。やってはいけないといわれることがたくさんあるし、取引先からは『担当が代わってもいうことは同じ』と言われる。しかし、こうしたことが理念を踏襲するには良かったと思う。人生はマラソンに例えられるが、経営はゴールのない駅伝。これからも理念を守って発展させていこうと言っている」。
2つ目は、食の「名脇役から主役へ」を社内外との協働で実現する。「この20~30年を見ると伸び続けている調味料はマヨネーズ・ドレッシングしかない。しかし少子超高齢社会にあっては中食を含めた食の外部化がおそらく今の50%程度から将来は70%位まで達するだろう。家庭内で使う我々のマヨ・ドレの減少は目に見える。マヨ・ドレはいわば食の脇役だが、主役部門を広げていく。それはタマゴ加工品、カット野菜、惣菜・米飯事業などの中食であり、ここを広げていく」と語る。
「しかし、サラダ・惣菜部門(中食部門)は低利益体質だ。営業利益率は全社の5%台に対し、昨年度はようやく3.1%になった。今年度は3.6%に上げる。生産性の合理化を行いつつ、付加価値を上げるためにブランド戦略を実行する。サラダクラブは昨年から『キユーピー』のロゴを付けた。惣菜のデリア食品も4月から初めて全国統一のロゴマークを入れた。付加価値が上がり、認知が進めば『キユーピー』ブランドも検討したい。いずれにしろ、惣菜部門での付加価値向上は大変だが、逃げずにブランド戦略を進める」。
またタマゴ事業に関しては、「つぶしておいしい」シリーズが4品、業務用を応用した「ふわとろたまごのオムレツ」を発売している。業務用では「黄身の白い『ピュアホワイト』が各方面で人気になった。またエサを工夫して生臭みがなく、コクや甘味があって黄身の色が鮮やかな『エグロワイアル』はシュークリームなどの生菓子で需要を伸ばしている」とタマゴ事業にも期待は大きい。
3つ目は、次の100年に向けてより良い姿を追求し続ける。「2年後の19年に創立100周年を迎える。具体的には、現在プロジェクトチームを組んで、どういう形でお客様に感謝の気持ちを伝えるのか、また記念イベントの具体案など検討している。そして次の100年に向かっていいスタートを切りたい」
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