「ナカタニLINK21の会」、外食産業の今後について講演/中谷食品 食品業界全体での共同配送システムの必要性説く

【大阪発】地域卸の中谷食品は17日、メーカー・商社・取引先などを招待し、「第18回ナカタニLINK21の会」を大阪市内で開催した。同講演会は製販三層のネットワーク強化と人材育成・勉強会のため毎年実施しているもの。今回は、すかいらーくの創業者の1人である横川竟(きわむ)きわむ元気塾会長と、外食産業のオピニオン誌「フードビズ」を手掛けるエフビーの神山泉社長が講演した。

中谷修三社長(写真)は開催あいさつで、「油問屋として創業して70年になる。売り上げは昨年の目標に届かなかったが、9月から新たに気を引き締め、今後も頑張りたい」と意気込みつつ、同講演会について「今回で18回目の開催となる。2001年から2008年までは人材育成をテーマに講演をしてもらってきた。現在、中小企業は非常に厳しい局面に立っている。利益、コスト、物流の面などで改善していかなければならない。今回の講演が少しでも皆さんにとってプラスになってほしい」と強調した。

第一部では、横川会長が「今の日本の『食』には何が必要なのか」をテーマに講演。昭和40年代からの日本の流通・外食産業の変遷を説明しつつ、価格競争からの脱却を提言。新たな価値創造こそが肝要だと喝破した。また、物流システムについても危機感を示し、食品業界全体での共同配送システムの必要性を説いた。「共同配送によって物流費は半分にすることが出来る。すかいらーく時代に利益が出ていたのは、セントラルキッチンに食材を一挙に集める仕組みで物流費を1.8%に抑えていたため。配送の共同化と集中化が課題となる」とした。

第二部の神山社長は「テーブルサービス離れが進んでいる」をテーマに、食の外部化が急速に進んでいる中、外食産業はコンビニ業界とスーパー業界の狭間でどのように生き残っていくかについて熱く語った。日本マクドナルドの業績回復の経緯やサイゼリヤの経営戦略について説明しつつ、高齢社会を迎える日本でどのような業態が勝ち残っていくかについて講演。「高齢者が食べなくなっていくピザや牛丼ではなく、そばや天ぷらなどの卒業しない食べ物に注目し、どういった切り口で消費者に提示していくかが重要だ」と話した。また、第三部では、横川会長と神山社長の対談が行われた。

講演会後の懇親会では、同会会長の楠井弘・味の素大阪支社次長が、「中谷食品はいよいよ創業70年となる。独自の価値を創造してまい進することを願っている」とあいさつ。来賓として、石田忍・三菱東京UFJ銀行東大阪支社支社長があいさつし、長坂篤・J-オイルミルズ執行役員大阪支社長が中締めの音頭をとった。

〈冷食日報2017年10月20日付より〉