上期増収確保 主力の骨なし魚は3.9%減、ミート0.6%減/大冷

大冷・齋藤修社長
〈人手不足対応「楽らく柔らか」、「ソフトフィッシュ」〉

大冷の上期売上高は138億3,100万円で前年同期比0.1%増、営業利益は8.0%増、経常利益は7.8%増、純利益も7.3%増と微増収増益となった。

大手ユーザーのPB商品販売強化や原価低減に取組むなど収益力向上に努める一方、骨なし魚事業が外郭団体のPB商品など拡販に努めたものの価格競争による値引き販売等で3.9%減の60億8,100万円に、好調だったミート事業も「楽らく匠味シリーズ」の平均10%の値上げによる販売鈍化で0.6%減の14億6,600万円となったが、その他の事業で調理冷食が直販による大手ユーザーの開発品等で増収し4.4%増の62億8,400万円となって牽引した。

同社は骨なし魚の高品質でユーザーの価格重視から戻ると予想。ただ原料高騰は避けられず年明けからの値上げ案内を視野に入れる。下期は人手不足、簡便食が求められる中、加熱済みでそのまま自然解凍で食べられる「楽らく柔らかシリーズ」と、切身でもすり身でもない「ソフトフィッシュ」の両方に注力するという。このほど同社齋藤修社長に現況と今後をインタビューした。

――人手不足について

ファブレスメーカーだが、協力工場も人手不足で大変だ。中国の工場でも「3K」で人気がない。今や月給8万円前後と、日本のパートと変わりなくなってきた。機械化を進め生産性を上げて対応している。従来、手作業だった骨取りも、機械化できる魚は行い、ウロコも機械で取っている。歩留りは出るが人件費の方が高くつく。

――骨なし魚の価格競争が厳しい

スーパーやホテル、中食などにおける価格競争については、本年9月から「骨取り魚」で対応をし始めた。骨なし魚と異なり、骨取り魚は中国の別工場で日本人常駐をなくしたり、凍ったまま調理できないなど「楽らくシリーズ」の特許製法を取り入れないなど全く違う種類で、その点はお客様に価格に応じて十分理解していただいていると思っている。

――骨なし魚は減収傾向について

大手ユーザーによる2社購買体制への変更と、食品メーカー他社の価格攻勢によって減収しているが、品質には絶対の自信を持っており、実際に焼いて食べてもらえば分かる。特に時間をおいて食べると一目瞭然で、今期中に盛り返せると期待している。

――原料の高騰が厳しい

秋サケなど5割も上がっている。このままでは使う回数が減ってくる。今年中に前年までに買い上げた在庫が尽きるので、値上げしないと安定した経営が厳しくなる。年明けから値上げを案内する予定で、1月~4月にかけて値上げをお願いする予定だ。

――ミート事業部も伸び悩んでいる

「楽らく匠味シリーズ」は大手ユーザーが外れたことと、原料高騰を受けて平均10%の値上げが響いた。ただ、その他の調理冷食加工品が増収した。直販部が頑張ってカバーした。直接末端の大手ユーザーの開発商品に応じて伸長。小品種大量生産で今期も伸びている。実際、外食の大手レストランにも入っていて、コンビニ系にも導入されている。ユーザーが求めているものを一緒に開発し、ユーザーに直接商談し、あとで卸に連絡するやり方に力を入れ始めた。

――新商品の活躍もあると聞いている

新商品では赤魚系が伸びている。ナマズの蒲焼などスーパーでも引き合いが続いている。ただ、当社の今期の切り札は何と言っても10月に発売したばかりの「楽らく柔らかシリーズ」だ。加熱済み商品でそのまま食べられる。自然解凍で他社と比較しても柔らかく美味しい。お客様の「人手不足では焼く手間をかけられない。袋を切ったらすぐ出せるものがないか」の声に対応した逸品と自負している。今は3種類だが今後シリーズ化する計画だ。

――2種類のソフトフィッシュも発売した

「ソフトフィッシュ」にも期待している。今は2種類だが“切身でもない、すり身でもない”商品としてソフトフィッシュは完全骨なし魚なので潜在的需要に今後も期待できる。お客様からご要望をたくさん聞いて新シリーズ化していきたいと考えている。

〈冷食日報2017年11月27日付より〉