〈2018年頭所感〉日本冷凍めん協会会長・和田博行氏 3つの基本方針でHACCP対応やプロモーション等に注力

日本冷凍めん協会会長・和田博行氏
おかげさまで、冷凍めん類は平成28年度までの当会調べにて、生産数量は未だ伸長を続けております。

日本の冷凍めんの品質は、製造技術・冷凍技術の進歩により築かれてきました。加えて、より良い品質でお客様にお届けするべく、冷凍物流の分野でも技術面・管理面での進歩があり、さらに電子レンジをはじめとした電化製品の性能は日進月歩の向上を見せております。今日、そうした進歩に裏打ちされた冷凍めんの“おいしさ”、“安全・安心”、“利便性”は、業務用市場だけではなく、家庭用市場においても高く評価いただいております。さて、昨今の企業を取り巻く環境の変化は目まぐるしく、海外に目を向けますと、外国為替では円安が続き、原材料の価格は高騰、地政学的リスクとしては朝鮮半島情勢等々、今後の国際情勢は不確実性の高まりを受けて予断を許しません。

国内では、外需主導ながら景気は底堅く推移しているものの、内需中心の食品業界において、消費の回復は依然として鈍く、加えて、高齢化が進み生産年齢人口の減少から、慢性的な人手不足の状態にあることも、事業運営に大きな影を落としております。さらに、総菜による食中毒事件の発生は、「食の安全・安心」に対するお客様の問題意識を高め、当協会会員をはじめ、「食」に関わる全て企業に対し、品質管理および品質保証への対応力強化を求めています。

国が進めているHACCPの義務化は待ったなしの状況で、全ての飲食店、食品製造業において義務化への準備が進められています。麺業界においても小規模事業者向けのHACCP基準Bの策定が全国製麺協同組合連合会を中心に進められており、当協会としても委員を選出し協力をしております。今年度中に厚生労働省検討委員会での討議を経て承認され、実施に移ると考えられます。

こうした状況の中、当協会の役割と使命の責務は益々重くなってきています。当協会の平成29年度事業は①RMK認定工場のレベルアップを図り、美味しくかつ安全・安心な冷凍めんの生産を推進する②RMK認定冷凍めん、だから「美味しい」だから「簡単・便利」だから「安全・安心」③食品安全など変化する環境に対応するため、また、会員各社の養成にスピード感をもって対応するため、体制整備に着手する――以上、3点を基本方針として掲げました。

具体的な施策としては、①品質保証体制のレベルアップに関しては、HACCP要求事項等の精度アップを図る工場監査・指導強化、工場支援としての勉強会の実施、eラーニングの提供、各種研修会の補助を実施しております。②WEBサイトの広告、プロモーション、SNSを通じたプロモーション展開などに取り組んでおります。③新事務所を全麺連会館4Fに11月より開設いたしました。

上記施策の推進を通し会員各社の企業価値を高めることで、価値のある製品の提供、RMKマークに対する信頼性の向上、延いては新たな市場を創造することができると考えています。

今後とも組織の役割と、美味しく、安全で安心な冷凍めん類を供給するとの使命を果たすため、関係機関等とも連携を強化し、変革の時代に柔軟に対応した事業の推進を図って参ります。

〈冷食日報 2018年1月9日付より〉