国分グループが低温フレッシュ・フードサービス事業方針説明会
国分グループ本社は17日、都内でグループの低温フレッシュ・フードサービス方針説明会を開催し、メーカー146社が参集した。18年度の低温・フレッシュ事業基本方針について説明した土井弘光取締役常務執行役員経営統括本部副本部長兼低温フレッシュ・フードサービス統括部長は、食品流通業界を取り巻く急速な環境変化に対応するため、今後のあるべき姿として、【フルカテゴリー製造卸】と【3PLプロバイダー】を掛け合わせた<次世代卸モデル>を掲げ、それを目指していくとした。
【フルカテゴリー製造卸】は、既にプロセスセンター機能等の流通加工、「クリエイト」ブランド商品、フロチル加工、牛乳メーカーへの出資等で取り組んできたような商品開発も含めた「製造卸」機能を、メーカーとのコラボや出資によってフルカテゴリーで高めていくことを意味する。
【3PLプロバイダー】は物流専門業者と肩を並べるような物流機能を持ち、提供する3PL(3rd Party Logistics)プロバイダーになることを意味する。
土井統括部長は「低温・フレッシュ事業においては加工食品・酒類事業とも異なる戦略で次世代卸モデルを描いている。現在、SMの生鮮構成比は34%、デリカ部門で使用する生鮮を加えると4割になる。さらに今後、デリカ市場が伸長、生鮮食品はハーフデリカ化、ドライ食品はチルド化、冷凍食品も伸長すると見られる。それに対応する考え方だ」「低温流通はコストがかかる中、2つの機能を掛け合わせ、店配と調達を組み合わせることでコストを下げることが<次世代卸>の姿になる。一般的な商社、仲卸では応えられない原料調達・加工・物流・販売支援までサプライチェーン全体を提案していく卸モデルを追求したい」など説明した。
定量的には、2015年の取扱高実績が低温2,058億円(うちフレッシュ457億円)、フードサービス(酒類除く食品のみ)が1,110億円だったところ、第10時長期経営計画最終年度の2020年に4,500億円(うちフレッシュ1,000億円)、フードサービス(同)1,800億円という目標を挙げた。
〈17年度低温事業は11%増3,442億円、冷凍は特に業務用伸長〉
土井統括部長によれば、グループの低温・フレッシュ事業(フードサービス除く)の17年度売上高は前年比11%増3,442億円だった。内訳はチルド7%増・約1,600億円(構成比46.3%)、冷食16%増・約1,500億円(同44.6%)、冷菓4%増・約310億円(同9.1%)だった。チルドはオリジナル商材の投入やフローズンチルドの受託が増えたことで伸長。冷食は市販用・業務用とも伸長。特に業務用は量販店デリカ売場向け提案が奏功し大きく伸びた。冷菓は天候不順もあったが、アイス需要の通年化などもあり伸長した。
17年度における全体の施策としては〈1〉プロセスセンター(PC)機能の構築〈2〉牛乳市場への本格参入〈3〉ナックスナカムラ(今年4月より「ナックス」)との協業――の取組みを進めたとし、要旨次のようにまとめた。
【〈1〉PC機能の構築】では、小売店の店舗で人手不足が課題となる中、9月に青果PC機能を備えた川崎流通センター(川崎市)を新設。青果物のカット、包装、ラベル貼付等の「流通加工機能」を提供。都市型スーパー等において、店舗でのインストア加工業務を削減するとともに、青果の少量規格への対応も果たした。土井統括部長は「チルドなど同じ温度帯で運べば、店舗での対応もラクになる。青果だけでなく、他の生鮮も検討したい。バックヤードの小さい都市型店舗に機能・サービスを提供することによる、得意先囲い込み戦略の表れでもある」など述べた。
【〈2〉牛乳市場への本格参入】16年9月30日付で乳業卸のヤシマ(大阪府高槻市)を完全子会社化するとともに、倉島乳業(北海道岩内郡)に20%出資。北海道産牛乳のブランド力と合理的な配送システムを徹底活用し、西日本エリア(沖縄含む)の事業を拡大する。
【〈3〉ナックスナカムラとの協業】首都圏・近畿エリアの事業戦略実行、ウィークエリアにおける共同ワークを進めた。役割分担と協業を整理し、いくつかの拠点では統合も行った。来春には、基幹システムを統合することで、双方の統合効果をより高める。また、ナックスナカムラに出資する丸紅グループとも加工原料の活用等で連携を深める方針。
〈冷食日報 2018年4月18日付より〉
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