日本水産、17年度業務用冷食、注力した中食は原料問題補い前年クリア/松島業務用食品部長

日本水産 松島業務用食品部長
〈給食は3カテゴリーとも堅調推移〉
日本水産の17年度業務用調理冷凍食品売上高は、前年比2.1%減370億円、農産冷凍食品は9.0%増102億円(うち約50%が業務用)だった。

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松島和浩執行役員食品事業副執行業務用食品部長によると、得意先ルート別の販売状況は、中食は量販惣菜、CVS 弁当商材で、新商品を意識的に拡販、主力商品であるイカの唐揚げが原料の問題もあって低調ながら、それを補って前年をクリアした。

外食は、チェーン外食は特定大口の取引減で厳しかったが、業務用卸との取組みによる個店ルートは堅調に推移。

給食では、産業給食は国内品回帰の動きがあり堅調。学校給食は子供の人数減はあるものの、中学校で給食開始の動きなどから底堅く推移。老健施設は骨なし切り身魚など水産食材の採用が増加し、伸長しているという。

〈刷新したクリーミーコロッケが倍増、グラタン・ドリアは引き合い増〉
商品カテゴリー別では、強化すべき8大カテゴリーとして▽水産揚物類▽クリーミーコロッケ▽中華(シューマイ・春巻)▽鶏加工品▽すり身製品(冷凍ちくわ・お魚ソーなど)▽グラタン・ドリア▽枝豆・農産▽調味エキス――を挙げ、取り組んだ。

前述の通り、水産揚物類は主力のイカの唐揚げが減量高騰による2度にわたる価格改定の影響で苦戦したが、他のカテゴリーは総じて好調。

水産揚物類では、17年春発売のあじフライはパン粉を経時変化に強いものに変更するなど刷新。惣菜売場を中心に好評を博し伸長しているという。17年秋発売の「えびカツ」も惣菜売場を中心に着実に成長。また、「昨年水産物で唯一といってよいほど安定していたのはカキで、カキフライは3~4年前の水準まで戻った。一時はカキが不足し、全体が少なくなったことで価格が上がり、売れなくなるという悪循環になっていたが、17年度はそれが平年並に戻った」という。

クリーミーコロッケは17年春にリニューアルし、強化したことでNB 品が前年比2倍と大きく伸長。やわらかさとともにコクを高め、「最適なものが作れた。技術に裏打ちされたものはやはり支持されることを実感した」という。ただ、かにクリーミーコロッケの原料であるベニズワイガニの価格が高騰している点は不安要素。

17年秋にリニューアルした35g タイプのクリームコロッケも、なめらかさとやわらかさをアップさせ、好調に推移している。

中華の春巻、シューマイもさまざまなラインアップを揃え、好調に推移。17年春発売の「パリっと7種の具材の春巻」が好評で、今春(18年春)には「本格中華10品目の具材の春巻」と付加価値を上げて切り替えている。“クチーナ・カルダ”ブランドで展開するグラタン・ドリアは、量販店の惣菜売場で人手不足が深刻化する中、1食完結でオペレーションが容易なため引き合いが多く好調。昨年6月にハチカンのラインを増強していたが、「業務用は(家庭用に比べ)トッピングが凝っており、人手が掛かるが、ここへきて生産に慣れてきたことで効率が上がり、収益にも貢献するようになっている」という。一方、「どうしても冬の方が売れる商品であり、夏場に手にとってもらえる商品作りが課題」だとする。

枝豆・農産品は、生鮮野菜の価格高騰による代替需要もあり、自然解凍可のキャベツなど凍菜類が伸長。生鮮の価格が安定してからも、堅調推移が続いているという。「1度使ってもらったことで、廃棄ロスが出ない、下処理済み、価格の安定などの使いやすさ・利点がユーザーに理解された」とする。なお、今春からは自然解凍・流水解凍で喫食できる凍菜を「パパッとベジ」シリーズとして展開している。

松島部長は「世界的には魚をたくさん食べようという方向に向かっているが、日本では魚の食シーンが減っている。魚だから健康的だとは言わないが、水産の良質なたんぱく質を食卓に届けるのも我々の使命だと考えて取組みたい」など抱負を述べた。

〈冷食日報 2018年6月28日付より〉

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