ナックス、「物流を起点とした事業構造に転換」/相馬義比古社長
ナックスの取引先メーカー約50社で構成する「全国NN会」(会長:吉峯英虎味の素冷凍食品社長)の第13回総会が20日、都内ホテルで開かれた(会の模様は後日詳報)。ナックスの事業概況と今後の方針について参加会員に説明した。相馬義比古社長は「物流を起点とした事業構造に大きく転換したい」と今後の方向性について述べた。なおナックスは今年4月1日にナックスナカムラから社名を変更した。
〈17年度1,061億円、市販冷食5.6%増〉
ナックスの17年度業績(1~12月)は連結売上高1,061.7億円で前期比33.5%増(決算月変更のため16年度9カ月決算との対比、以下同様)、経常利益10.7億円で59.6%増、売上高経常利益率は1.00%となり前年を0.16ポイント上回った。物流受託(通過金額)は1,217.2億円で36.3%増――。
売上高の内訳は市販冷凍食品が318.2億円で5.6%増(ここからは前12カ月調整値対比)、アイスクリームが56.3億円で1.9%減、惣菜が440.9億円で1.1%減、ベーカリーが70.8億円で5.5%減、その他業務用が26.6億円で2.5%増、子会社他が148.9億円で46.1%増――計1061.7億円で0.9%増となった。16年に大手量販店の店舗減少があった影響で、アイスと惣菜は前年を下回ったが、市販冷食は生協共同購入を含めて大きく売上げを伸ばした。
今上半期の売上高は512.2億円で1.5%増。内訳は市販冷食が160.9億円で6.6%増、アイスが24.9億円で0.5%増、惣菜が214.9億円で1.5%増、ベーカリーが33.6億円で5.8%減、その他業務用が13.2億円で12.7%増、子会社他が64.7億円で7.4%減――。
〈卸・商品開発・物流、各機能で独自性発揮〉
2017~2020年の中期目標を示し〈1〉卸機能〈2〉商品開発機能〈3〉物流機能の3点で独自性を発揮し、地域密着全国対応卸を目指すとした。
ビジョンとして「社員一人ひとりが価値創造力を発揮し、お客様と共に新たなステージへ!」を掲げた。具体的に卸機能としては「モノ売り」+「コト売り」への意識改革をテーマに、国分・丸紅グループのシナジー効果を発揮し、新規顧客の開拓、既存有力顧客の深耕を積極的に進める。
商品開発機能としては自社開発商品と品質管理活動の強化をテーマに、同社の独自性を発揮するため、新たな素材・機能を発掘し、新商品開発を促進することで、冷凍食品や冷菓の品ぞろえを拡充する。
物流機能については殊更詳細に取り上げた。現在保有拠点は全国37カ所。物流受託(通過金額)は17年度ナックス単体が754.6億円で前年比9.1%増、グループ全体(子会社の日本デリカ運輸の受託分を含む)が1,217.2億円で5.4%増となった。
今年6月、一部を除き本社物流本部のすべての物流業務を日本デリカ運輸に移管した。これにより車両の集約、積載効率の向上を図る。事務作業の効率化にもつなげる狙いだ。国分グループと物流拠点の再配置も進める。これにより重複エリアにおける積載効率の向上、ドライバー不足、庫内作業者不足への対応を図る。
環境対応については2拠点で代替フロン機器へ更新を完了。来年度以降、3拠点で代替フロンかノンフロン機器への更新を検討している。
倉庫・運送の協力会社とともに人手不足に起因するコスト増に対して、合理的な物流構築を進めることで、存在感を高めたいとした。さらに物流実務・物流提案・物流企画の機能を高めるために、人材育成も強化する。
相馬社長は「物流機能を徹底的に磨き抜くことが、この会社の価値を大きく上げる絶対的ポイントだ。物流を起点にした商売に変えていくのは、皆さんと一緒に取り組まなければならない難しい課題だと思う。ただし自然環境問題や物流業界の環境変化がある中、営業も重要だが、立ち止まって物流を起点に物事を考えたい。今期残り6カ月で完遂したい」と述べた。
同社は国分グループとなって3年目に入り、これまで以上に協働ワークを進めるとしている。これまで拠点集約や人事交流などを行ってきたが、来期には基幹システムを統合する。グループ一体で協業が円滑に進められることで、更なる相乗効果が期待される。
〈冷食日報 2018年7月24日付より〉