日本製粉、主力のパスタやトレー入り米飯が喫食機会拡大で好調推移/宮田精久理事冷凍食品部長インタビュー
市場は4~5月、あまり良くなかったが、それ以降持ち直し、100%を少し超えるところだと見るが、当社は好調で2ケタ増できている。カテゴリー別では、主力のパスタを中心に好調で、「パイシート」を除くとすべてのカテゴリーで前年を上回った。伸び率は米飯が最も良い。
――パスタの好調の要因
パスタでは、主力の準高価格帯「オーマイプレミアム」は、野菜をたくさん採れる「彩々野菜」を始め品揃えが多く、店頭で選ぶ楽しみに繋がっている。そしてなんと言っても、「Big」など当社の他のパスタ商品も含め、トレー入りという付加価値が改めて評価されているのが好調に繋がっている。トレー入りであることで、喫食機会が家庭ばかりではなく、オフィスのランチ等にも拡がっている。
そして今春発売した高価格帯の「具の衝撃」が好調で、プラスオンになっている。これまで高価格帯パスタは、原料、産地や製法などを訴求していたが、消費者に価値がなかなか伝わりにくかった。「具の衝撃」は、開けた瞬間に具材がたっぷり盛り付けられている“驚き”があり、分かりやすい価値を訴求したのが成功している。今秋も新商品2品を追加した。まだ発売したばかりだが、配荷は好調だ。
――米飯では、「オーマイいまどきごはん」シリーズでトレー入り米飯市場を創出・けん引している
トレー入りの個食米飯は、冷凍米飯市場の中では分母が大きくはないが、このところ小売店の皆さんにも炒飯等、大袋入りのIQF 米飯とは用途・食シーンが違うことをご理解いただけるようになっている。展開当初は、IQF米飯と比べてユニット単価が高いという声が多かったが、同じ米飯でも異なるものと捉えられるようになり、店舗によっては棚割りを米飯カテゴリーではなく、パスタ等と同様の個食カテゴリーで展開するなど、消費者にも商品特性が伝わりやすくなっている。
こちらも1食完結のトレー入り商品ということで、都市型店などでコーナー展開され、オフィスのランチ需要や、単身者の夕食等にも食シーンが拡がり、伸長に繋がっている。現在、「いまどきごはん」シリーズの個食米飯は5品展開であり、売れ筋は「具だくさんビビンバ」「五穀ごはんと野菜を食べるカレー」「5種野菜のカルビクッパ」の順だが、他の商品「デミグラスソースのとろ~りオムライス」「参鶏湯」も比較的満遍なく売れている。
今秋は同シリーズから、米飯ではなく「ひとり鍋」として「牛すき鍋」「豚チゲ鍋」を発売し、シリーズ計7品での展開とした。外食やCVSなどで“ひとり鍋”の喫食頻度が増加していることに対応し、レンジ調理だけで野菜80g 入りのバランスのよい鍋料理と、締めのうどんが楽しめる。当社として市販冷食の“うどん”は初めてだが、麺類としてではなく、あくまでもトレー入り個食ジャンルの1つとして訴求している。
――ワントレー商品も御社が開拓している
ワントレーの「オーマイよくばり」シリーズは、パスタとハンバーグ等洋風の「よくばりプレート」でスタートし、4年目となった。それまでも市場におかずセットはあったが、主食+主菜をセットにし、300g 以上の量目で満足感ある1食を食べられるというもの。ここ2年ほど拡がりが出ている。
今春から、和風の「よくばり御膳」を投入。今秋は「よくばり御膳 五目ご飯と鶏と野菜の黒酢あん」を発売した。春発売の2品と比べ“小盛りごはん”とし、ごはんを少なめ、おかずを多くするとともに、5種の野菜をたっぷり100g 使ったおかずが特長。購買の中心が女性や、シニア層の開拓を視野に入れている。これで和風「よくばり御膳」が3品、洋風「よくばりプレート」が4品で、「よくばり」シリーズ計7品での展開となった。
――その他の商品について
「レンジで美味しいごはんのおかず」シリーズは、市場が弁当中心から大人向けのものが増える中、“おかず”として投入。おつまみ市場も視野に入れている。ただ、おかず・おつまみは、惣菜、チルド、缶詰はじめ温度帯・カテゴリーの幅が広く、プレイヤーも多い市場だ。冷凍ならではの良さが訴求できるものを出していきたい。
お弁当パスタは、市場が縮小する中でも主力の「2種のスパゲッティ」は伸びており、好調だ。
〈冷食日報 2018年10月12日付より〉