「鶏つくね串(照焼)」に新製法“2度焼き”を導入 ケイエス冷凍食品・泉佐野工場

“2度焼き”を導入した「国産鶏 鶏つくね串(照焼)」製造ライン
ケイエス冷凍食品は今秋、家庭用の「国産鶏 鶏つくね串(照焼)」に“2度焼き”の新製法を導入した。このために同社泉佐野工場(大阪府泉佐野市)に遠赤外線の焼成機を新たに設置して、製造ラインを組み直した。

同工場では合計5ラインが稼働しているが、いずれも肉だんご・つくね(一部すり身だんご)の製造に特化しているのが特徴だ。肉だんご類の優れた製造技術だけでなく、連続式の串もの製造ラインを最大の特徴としてきたが、優位性をさらに追求している。

「国産鶏 鶏つくね串(照焼)」パッケージでも“新製法 2度焼き”を訴求

「国産鶏 鶏つくね串(照焼)」パッケージでも“新製法 2度焼き”を訴求

同社の売上高の60%強を冷凍肉だんご類が占める。冷凍肉だんご市場シェアは40%強と業界最大だ。泉佐野工場も日本最大の冷凍肉だんご工場といえる。
 
泉佐野工場の生産ラインは1系列~5系列で構成される。
 
1系列は「家庭用・業務用肉だんご小袋」を製造。だんご計数機を使用する脱気包装によるラインだ。現在のアイテム数は15品。
 
2系列は「業務用肉だんごタレ付」を製造。コンピュータースケールを使用して袋詰めしタレを充填するライン。NB商品以外にも留型商品やPB商品など主に1kg詰め商品を製造する。アイテム数は25品と多いのも特徴だ。
 
3系列は「家庭用・業務用つくね串」を製造。汎用性をもたせた串刺し機を組み込んだラインで、入り数を5本、6本、10本、20本――と切り替えられる。秋の新商品「しそ入り国産鶏 鶏つくね串(照焼)」もこのラインで製造する。ボール状ではない、つくねの握り込んだ形も生地の搾り出しの工夫で実現している。
 
4系列は「家庭用鶏つくね6本串」を製造。同社で最も販売量の多い「鶏つくね串(照焼)」のライン。日産8万パックと3系列に比べて2倍以上の生産能力をもつ。このラインに遠赤外線焼き機を組み込んだ。
 
5系列は「業務用肉だんごタレ無・付」を製造。計数機を使用した袋詰めライン。2系列と同様のタレ付きを生産できるが、現在は「9割方はタレ無しを生産している」(桂川雅志執行役員生産本部長兼泉佐野工場長)。

左=桂川雅志執行役員生産本部長兼泉佐野工場長、右=大野潤取締役常務執行役員

左=桂川雅志執行役員生産本部長兼泉佐野工場長、右=大野潤取締役常務執行役員

〈24時間稼働、5系列から〉
泉佐野工場の生産量は2017年実績で年間1万2,250t。ここ数年、冷凍肉だんご市場は順調に伸びているという。同社もホテルブッフェなど新しい販路を拡大し、ユニバーサルデザインフード対応商品をそろえていることから、有料老人ホームなどやわらかい食材が求められる業態からの引き合いも増えている。
 
今年度も前年同様の推移となっているが、11月から1つのラインで24時間稼働とする考えだ。特に需給がひっ迫している、業務用のタレなし肉だんごを製造するライン(上記の「5系列」)から、24時間稼働体制を構築していく。1ラインを24時間稼働とすることで年間500t増産が見込める。
 
桂川執行役員は「実製造時間は現在12~15時間強だが、今後17~18時間を目指す」と話す。年末のクリスマスオードブルなどで需要がピークに備える現在、土曜日も稼働して生産を増強しているが、24時間稼働は通年実施する。この点、大野潤取締役常務執行役員は「これまで需要に合わせて土曜日は柔軟に対応してきた。労働環境の改善のため24時間稼働の実施により、生産キャパシティを増やすと同時に、土日完全週休2日制にしたい」と述べた。

ケイエス冷凍食品・泉佐野工場

ケイエス冷凍食品・泉佐野工場

【ケイエス冷凍食品・泉佐野工場概要】
▽所在地:大阪府泉佐野市住吉町29-2
▽竣工:1997年8月
▽建築面積:2,245平方メートル、建屋延床面積:7,813平方メートル
▽従業員数:総従業員234人、うち社員53人(18年9月末現在)
▽勤務体系:生地・タレ仕込み、袋詰め=6:15~23:05(2交代)、包装=6:45~23:35(同)/パート従業員=昼8:00~16:15、夜16:15~21:30、21:30~26:00
▽FSSC22000;食品安全マネジメントシステム認証取得(14年11月~)、ISO14001;環境マネジメントシステム認証取得(11年12月~)
 
〈冷食日報 2018年10月30日付より〉