カネ美食品、18年4~9月期は2期ぶりの黒字に ユニー新業態向けは苦戦

カネ美食品がこのほど発表した4~9月期の決算は、新規店舗やコンビニエンスストア部門の売り上げが大きく伸び、利益面に寄与したほか、工場売却や業務効率化が利益増に貢献した。売上高は前年同期比2%増の454億4,300万円、営業利益は前年同期から約15億円増え5億600万円となった。一方、ユニーから業態転換した「MEGAドン・キホーテ ユニー」6店舗で、客層の変化と店内競合の増加で販売に苦戦。そこで、今まで取り組みの薄かった廉価な商品や細かなニーズに合せた商品など拡充し、幅広い顧客への提案を強めて利益改善を図る。

セグメント別では、テナント事業で売上高が同0.9%増の291億7,500万円、セグメント利益は同3%減の7億8,700万円となった。ユニー店はMEGAドン・キホーテに業態を変えた店舗で新たな競合が増え、売り上げは前年同等に留まったが、新規出店や改装店で売り上げを伸ばした。

外販事業は、売上高は同3.1%増の234億6,800万円、セグメント損失は2億8,100万円で、前年同期から15億8,700万円改善した。今年に津工場(三重県津市)と三田工場(兵庫県三田市)を閉鎖して生産拠点を集約し生産性を高めたほか、生産体制の均一化や省人化で製造効率も向上した。また、ファミリーマート向けの商品に加え、外部テナント向けの商品提案も強化する。20日に開かれた決算説明会では、今後の取り組みを紹介した。テナント事業では、新規出店の推進に加え、MEGAドン・キホーテ ユニーで店舗環境に応じた価格や品ぞろえによる提案を模索し、ビジネスモデルの確立を目指す。三輪幸太郎社長は取材に対して「ただ安いだけでなく、幅広い価格やニーズに合った商品をそろえ、すべての人に提案していく」と語った。また、10月からはファミリーマートが展開する自販機型無人コンビニ(ASD)への商品納入も開始した。ファミリーマートの出店が伸び悩む中で、ASDを「伸びるマーケット」と期待を寄せる。

〈積極出店、ディスカウント商品施策も/三輪幸太郎社長〉
三輪社長=今年は昨年と同じ「1.見直し 2.回復 3.成長」をスローガンにした。前期は「見直し」までしかできなかった。今期は利益などの改善に向けて対応した。テナント事業で新規に「ららぽーとみなとアスクル店」に出店した。この店舗の前には今春開業の「MEGAドン・キホーテUNY東海通店」がある。積極的に出店を続けるという意思の表れだ。

現在、MEGAドン・キホーテUNY転換した6店舗は、店内の競合が増えて売り上げが取られており、前年同等を出すのがやっとだ。客層の変化に対応できていなかった。商品を中心に改善を進め、回復の兆しは見えている。

外販事業は売り上げ確保と利益改善を第一に取り組んだ。ファミリーマート向けの商品は計画を大きく下回り、改善できないことを見越して2工場を閉鎖した。拠点を集約して生産性を上げるなど利益改善が進んでいる。ファミマとサークルK サンクスの統合時の混乱も改善してきている。

MEGAドン・キホーテ ユニーへの転換店では、新ビジネスモデルへの転換にも取り組む。成功体験にとらわれずにマーケットへの対応進める。これまではアッパー層をターゲットに、高付加価値・高価格帯の商品提案をしてきたが、今は逆も必要と考え、ディスカウント価格の商品施策も進めている。既存店にも波及すればいい刺激になると考えている。ドンキに転換した店舗での成功実績があればチャンスになる。きちっとしたビジネスモデルを確立して店舗拡大につなげる。

今年10月から、ファミリーマートの自販機コンビニ(ASD)への商品出荷も、ファミマ店舗が増えない中で新しく取り組む。ASDは今後伸びるマーケットと考えており期待している。統合当初の出店計画は2万店だったが、今は1万6千店に減った。生産拠点の態勢も2万店への供給を視野に取り組んできたため、生産拠点が多すぎる状態だと思う。改善に向け様々な協議を進める。

〈冷食日報 2018年11月21日付より〉