18年秋作の台湾枝豆は1万~1万2,000tの収穫見込み、品質は昨年以上/2018年日台冷凍農産物生産販売安全懇談会

台湾の冷凍野菜製造企業等で組織する台湾区冷凍蔬果工業同業公会(台湾凍菜組合、蔡敬虔理事長=大明食品工業股份有限公司董事長)は1日、台湾・高雄市内のホテルで、輸入冷凍野菜品質安全協議会(凍菜協、川﨑順司会長=ニチレイ取締役執行役員)の会員らを招いて「2018年日台冷凍農産物生産販売安全懇談会」を開き、日本から凍菜協会員、報道ら26人、台湾の政府関係者15人、台湾凍菜組合関係者ら57人の計98人が出席した。

台湾凍菜組合の蔡理事長によれば、今年秋作の台湾枝豆は天候不順などの影響で収穫が遅れているものの、枝豆自体は粒が大きい上、色目もよく、品質は昨年以上の出来だという。この秋で約1万~1万2,000tほどの収穫を見込んでいる。ただし、「寒気が強まると、急に収穫量が下がる可能性もあり、油断はできない」(蔡理事長)という。また、かねてからの台湾冷凍枝豆の値上げ要求に関しては、日本の関係者らと話し合って調整していきたいとし、決定事項とは言えないとした。

また、懇親会では、蔡理事長が日本の農林水産省に相当する台湾行政農業委員会にいくつかの提案をする場面もあった。蔡理事長はまず、国から補助を受けて収穫期を変更することを提案。また、中国とタイは輸出の税率がゼロにも関わらず、台湾からの輸出は6%かかることに関して、日本側と話し合って税率を改めることを要求。台湾枝豆の品質は高いにも関わらず、税率のために現状より成績を上げにくいことを訴えた。このほか、輸出に際する検疫の証明書の問題についても言及し、相手国の検疫に関する決まりをもう一度調査して、業界内の各企業とその情報を共有したいと求めた。

〈蔡理事長「中国、タイを抜き日本シェアナンバー1の座を確立できた」〉
会議の冒頭では、台湾から台湾凍菜組合の蔡理事長、行政農業委員会の林家榮副処長、経済国際貿易局高雄事務処の盧惠珠副処長があいさつ。日本からは、凍菜協の川﨑会長があいさつに立った。

台湾冷凍野菜に関する功労者表彰では、枝豆部門でマルハニチロ、日本水産、ニチレイ、東洋水産、イオンリテールに、ほうれん草部門では東洋水産に、それぞれ感謝状が贈られた。

講演会を2題実施。凍菜協の川﨑会長は「枝豆の栄養成分および人体健康の機能性研究」について、台北医学大学生医学研究室の荘国祥准教授は「台湾枝豆のメタボリックシンドローム改善効果に関する研究」について、それぞれ講演した。閉会のあいさつは、マルハニチロの大西宏昭執行役員が行った。

台湾凍菜組合の蔡理事長は開会の際「台湾と日本はこの40年間、互いに協力関係を築くことができ、心より嬉しく思う。また、台湾行政農業委員会と経済部国際貿易局にも感謝したい。両者の後押しがなければ、台湾枝豆がこれほど国を超えて人々に食べられるものにならなかった。長年にわたって、栽培管理から加工までの生産追跡システムを立ち上げたことで、安心・安全で品質の高い枝豆を消費者に届けられ、中国、タイを抜き日本のシェア40%を超え、シェアトップ1の座を確立できた。近年、地球規模での異常気象などで厳しい状況が続いているが、業界の協力があればよりよい発展ができる。これからも日台相互がますます発展することを祈っている」とあいさつした。また、蔡理事長自ら作詞した「枝豆之歌」とアクセサリーを作ったことを明かし、今後のPRに活かしたいとした。

〈冷食日報 2018年12月4日付より〉