三菱食品横浜金沢低温DC、仕分業務を自動化する「マルチシャトルシステム」導入、人手不足に対応

三菱食品 横浜金沢低温DC
〈最新機器や取り組みで人手不足対応〉
三菱食品の低温汎用センター、横浜金沢低温DC(※1)は、18年11月に稼働を開始した最新鋭の低温センターだ。最新マテハン機器や、メーカー側とのパレタイズ入荷の取り組みなどで、生産性を高めたばかりではなく、働く人にやさしいセンターを実現している。29日、同センターで物流センター見学会が開かれ、報道陣に内部を公開。佐々木弘一物流オペレーション本部運営管理第二グループセンター管理Aユニット横浜金沢低温DCセンター長らが、センターの特長について説明した。

※1 DC=Distribution Center、物流センター

佐々木センター長によれば、横浜金沢低温DC稼働までは、近隣の旧・湘南低温DCが稼働していたが、

▽在庫キャパシティ改善
▽ドライバー付帯作業の軽減
▽労務不足への対応
▽新たな物流事業取り組み
▽低温作業環境負荷軽減

――が課題として挙がっており、これらの解決を目指して同センターが作られたという。

「在庫キャパシティ改善」「ドライバー付帯作業の軽減」については、旧・湘南低温DCはキャパの問題から、FDC(※2)としての出荷比率が約65%と、他のFDCの90%前後と比較して低く、RDC(※3)である関東低温RDC(東京都八王子市)への依存度が高いことから、RDCからの横持費用の負担が重かったという。横浜金沢低温DCでは庫腹が拡大し、FDC出荷比率が80~90%に拡大。RDCからの横持による車輛積込作業の軽減も図ることができた。

※1 FDC=Front Distribution Center、各得意先への配送拠点として、高頻度出荷品を在庫。

※2 RDC=Regional Distribution Center、低頻度品を集約在庫し、各FDCへ供給するマザーデポ。また、メーカー名義在庫を保管し、運用効率を高める。

また、主に「労務不足への対応」「低温作業環境負荷軽減」に寄与するものとして、過酷な低温環境での労務を改善するための、最新のマテハン機器を導入して改善。冷凍倉庫内では、「移動ラック&フリーロケーションシステム」を採用。移動ラックは、すべてのラックで通路幅を確保する必要がないため、保管効率が高くなる。また、フリーロケーションシステムは、従来のようにピック間口への補充作業が必要でなく、-20℃~-25℃という冷凍庫内での過酷な作業を削減することができる。

さらに、「恐らく低温センターでは初導入ではないか」(佐々木センター長)という「マルチシャトルシステム」を導入。仕分業務を自動化する、冷凍倉庫内の巨大なシステムで、従来、低温下で人手により行っていた庫内作業の人員を3分の2程度に削減できるという。

「新たな物流事業取り組み」に対しては、近年需要の高まる温度帯変更商品に対応するためのマテハン機器「フロチルラベラー」を導入。従来、人手で行っていた温度帯変更作業(ラベル貼付作業)を自動貼付ロボットが対応し、生産性が向上する。

もう1つ、「ドライバー付帯作業の軽減」に繋がる取り組みとして、大手メーカー4社と「パレタイズ入荷」を実施。従来、メーカーの工場や出荷拠点から車輛にベタ積みされていた商品を、センター到着後、ドライバーがパレットに詰め替えし、検品する作業が生じていた。今回、メーカー工場・出荷拠点からパレットに積載した商品を積み、そのまま荷下ろしし、パレット毎検品することで、ドライバーの荷下ろし時間を短縮するとともに、センター側も効率的な入荷と検品を可能にしたという。これにより、10トン車の場合、ドライバー拘束時間は2時間→30分と、大幅に改善されているそうだ。

これらのほか、同センターでは冷凍設備で新たな取り組みも実施。1つは、ユニットクーラーの吹き出し方法を従来の内側から壁側に変更。これにより、より均一な温度管理を実現するとともに、庫内コールドドラフトを改善し、作業環境の改善にも繋げている。 また、将来を見据えて情報収集デバイスを稼働当初より搭載。現在、情報収集とデータ蓄積を行っており、将来的にエネルギー監視や予防保全等、生産性向上に向けた取り組みに繋げる予定だという。

〈三菱食品横浜金沢低温DC概要〉
▽所在地=神奈川県横浜市金沢区幸浦2丁目24-5
▽敷地面積=4999.70平方メートル(1,512.4坪)
▽建築面積=2,967.63平方メートル(897.7坪)
▽延床面積=8,651.67平方メートル(2,617.1坪)
▽収容能力=冷凍庫(-20℃・-25℃)計4,086パレット・8,487トン
▽在庫量=約12万ケース
▽出荷物量=1万3,700/日(計画時の想定ピーク)

〈冷食日報 2019年4月2日付〉