テーブルマーク ステープル(主食)は増収推移、冷凍パンが伸長/2019年第1四半期

テーブルマーク 亀山明記専務執行役員
〈亀山専務「業界のけん引役と誇れる会社に」〉
テーブルマークの亀山明記専務執行役員マーケティング&セールス本部長兼販売事業部長は今期の事業方針として、
〈1〉圧倒的ナンバー1を目指し、ステープル(主食)、冷凍お好み焼・たこ焼に注力する
〈2〉最適生産体制の構築により獲得した製造基盤の最大活用
〈3〉商品の差別化、製造技術の革新への取り組み
――の3点を掲げ、足元の概況について説明した。

2019年第1四半期(1~3月)の事業概況は売上高が前年同期比2%減。業務用の水産加工品を戦略的に撤退したことが主因で減収。「厳しい市場環境の中、想定内の着地と考えている」と話した。なお1~6月の実績は7月31日に発表する。

そのうちステープルは合計で2%増、お好み焼・たこ焼のスナックは1%増となった。

ステープルの内訳は冷凍麺が前年並み、冷凍・常温米飯が2%増、冷凍パンが8%増――。冷凍パンは業務用のホテル朝食向け、洋風居酒屋にバゲットやクロワッサンなどの販売が順調に推移した。学校給食・老健施設向けに個包装の食パンなども需要が広がっている。そのほかインストアベーカリー向けに小型バゲットの需要も広がっているという。

家庭用冷食は4月半ばに放映されたテレビの冷食特番の影響も大きかった。「冷食自体の良さが視聴者に伝わり、今まで買っていなかった人が冷食売場に訪れた。これは大きい出来事だ」としたうえで「業界のけん引役を誇れるような会社になっていく」と意気込んだ。

同社では番組のベスト30に6品がランクイン。4位のお好み焼と5位のうどんは放送後、販売が大きく伸び、7月に入っても好調が続いているという。20位のたこ焼も「個食をしっかり認知させることができた」としている。生産体制の構築について、昨年度にうどんとパックご飯、お好み焼・たこ焼――といった注力商品の増産体制を整えた。今期はライン増設の予定はないが、耐震化やフリーザーの交換は継続的に取り組む。なお現在の最適生産体制の構築は2021年に完了する予定だ。

差別化・技術革新について「主力のうどんやパックご飯はコモディティ化が非常に進んでいる。どこの商品も一緒という目線がある中、しっかりと差別化していく」と話した。具体的に高付加価値商品を発売してブランドの育成に努めるとした。

〈業務用値上げ「しっかり説明していく」〉
上期の主な取り組みとして、家庭用冷食では今春、素材麺3食入り商品のタテ置き・ヨコ置きのマルチパッケージ化を実施した。「平台とリーチインが混在する中でスペースを無駄なく使えると評価されている」という。

春の新商品ではトレー入り冷凍麺の販売が好調だ。特に春の一押しとした「肉ぶっかけうどん大盛り」は想定以上の売上げという。5月2日を「ごっつの日」に制定した初めての年として、お好み焼・たこ焼はプロモーションの活用や売り場での販促に取り組んだ。冷凍うどんは6月からテレビCMの放映とともに消費者キャンペーンを展開した。夏場のレンジ調理の啓蒙とともに販促を図る。

業務用冷食は4月に値上げ(3~8%)を実施した。「昨年家庭用の値上げ(冷食は3月)は当社単独だったが、この春はほとんどが業務用の値上げを実施している。卸売には受け入れてもらっているが、エンドユーザーの抵抗はある。しっかり説明していく」としている。

冷凍パンとデザートなどの各商品群では、ともに親和性の高いホテルビュッフェへ複合的な提案を続けており、成果が出ているという。春の新商品では「山芋とろ~り焼き」が当初はデリカ向けスナックとしての品ぞろえ増強として発売したが、天ぷらに仕立てることでおかずコーナーへ売り場を拡大した。PS和ロール「桜あずき(北海道産小豆使用)」もホテルビュッフェや居酒屋のコース料理のデザートに利用されて好調だ。

常温食品について、パックご飯は新潟魚沼工場に1ライン増設し、全体の生産能力が15%拡大した。「毎年5~7%の市場の伸びが続いている」として需給のひっ迫に対応した。

春に銘柄米シリーズのパッケージをリニューアルしたが、今秋はレギュラー品も変更し、イメージを統一させる。

〈冷食日報 2019年7月30日付〉