業務用を中心に冷食を販売、トンカツとめん類に“圧倒的強み”/四国日清食品
四国日清食品(香川県三豊市、山田孝和社長)は、日清食品グループで業務用冷凍食品をメインに製造・販売している。創業以来、主にトンカツ、メンチカツを生産し、グループの祖業であるめんに関しても、うどんを中心に「ダントツの商品」を目指して展開中だ。東京支店や大阪支店、仙台営業所など、6事業所を展開していることからもわかる通り、四国に限らず全国で営業活動を行っている。商品の製造だけではなく、POP、販促シール、売り場づくりといったニーズに合わせた「コト」の提案も強みだ。
同社は70年に味えさ(あじえさ)食品工業として創設、73年には社名をピギー食品と改め、トンカツやメンチカツなど、豚肉を使用した冷凍食品の製造・販売を本格的にスタートした。その後、日清食品のグループ会社となり、08年に現社名に改めた。現在は、トンカツなど畜肉類に加え、お好み焼、めん類全般、シューマイ、天ぷらなど幅広い業務用冷凍食品を扱っている。
売上高は100億円を突破しており、右肩上がりで成長。今期も6.8%増を計画。グループの中計最終年度である来期にはさらなる増収を目標としており、「技術・ブランド力を生かした高付加価値商品の拡大と利益率向上」という方針を軸に、新商品の開発と新規開拓に注力している。
商品カテゴリー別の販売構成比は、メインのトンカツが3割強を占め、続いてめん類、お好み焼、メンチカツの順となっている。本社工場には4ラインを設けており、うち2ラインでトンカツ、残りの2ラインでお好み焼とその他の商品を製造している。めん類に関しては、子会社でめん類専業の高松日清食品(香川県高松市)が製造を担っており、中でもうどんが構成比70%を占める。「いかにして手打ちの讃岐うどんに近づけるか」という課題を追求し、特殊なミキサーとローラーで手打ちうどんを再現している。うどんのほか、そばやラーメンなどめん類全般を扱っている。
業態別の売上構成は、生協が4割弱と圧倒的な割り合いを占めており、外食、中食、弁当、その他と続く。全ての商品が国内製造で、高い品質を誇ることから、安全・安心にこだわる生協の、PB(プライベートブランド=卸・小売業者などによるブランド)商品の生産を多く請け負っている。一部商品は宅配を中心にNB(ナショナルブランド=メーカーによるブランド)品としても販売されており、「業務用がメインなので一般の消費者には知られていないが、生協を利用している組合員の中には、四国日清食品という社名に親しみをもつ人もいるだろう」(同社)。
〈ベーカリー業態に注力、トンカツ「四角い」シリーズで攻勢〉
元々、生協向けには、かき揚げうどんやぶっかけおろしうどんなどの具付きめんの製造を行っていたが、現在では、トンカツやメンチカツといったカテゴリーの商品も販売している。営業本部とは別に、コープ営業部が独立して組織されており、組合員やバイヤーと共に商品開発も手掛ける。現在、生協向けに注力しているのが油調済みのレンジ対応トンカツ類だ。自宅で商品を揚げる手間がなく、レンジを使ってすぐに食べることができ、「品質には改良の余地があるが、簡便性をアピールしていきたい」としている。
戦略5業態として、生協のほか、外食、中食、産業給食・弁当、学校給食を掲げているが、6業態目として、現在ベーカリー業態の開拓を進めている。食パンのサイズにぴったりとおさまる「四角い」シリーズのカツを武器に、カツサンドやサンドイッチの具材として提案を進める。このほか、トンカツ類の新たな商品開発も進めており、20年度のグループ中計達成に向け、「知識とアイデアと技術とこだわり」を磨いていく。
〈冷食日報 2019年8月13日付〉
トンカツ「四角い」シリーズで攻勢