京果食品 2019年3月期は3期連続の過去最高益、今期も計画を上回り絶好調
京果食品(京都市下京区)の前期(2019年3月期)実績は、売上高2%増の128.6億円、営業利益も2.8%増の2.6億円と増収増益で着地した。営業利益は3期連続で過去最高を更新。主力の冷凍野菜の販売が数量ベースで1%増の3万9,400tと伸長したことに加え、完全調理済み商品や無加熱摂取商品が市場のニーズをとらえた。「人手不足を背景に生鮮以外は満遍なく伸びている」(谷口泰正取締役営業本部長)。また、16年以来、「在庫」「品質管理」「営業活動」「人材育成」「利益」の5つの項目の適正化を推進しており、特に在庫の縮小によるコストの削減が大きく利益に寄与している。「物流費は高騰しているが、在庫の数量を見直すことでカバーできた。今期も引き続き推進していく」。
前期の凍菜販売数量は、主要な中国産、ベトナム産の商品がそれぞれ2.4%増、5.7%増と増加した。一方、ミャンマーは天候不順などの影響で計画には至らなかった。ただし、現在在庫をストックする段階にあり、今後本格的に販売数を伸ばしていく。国産品に関しては、天候不順の影響でホウレン草やカボチャの生産に影響が出て昨年割れとなった。生産地を全国各地に分散させることで、必要量を確保できる体制を整えている。
今期は7月までの累計で増収増益と好調に推移している。凍菜はポテト、サツマイモ、カボチャ、オクラ、ブロッコリーが特に伸長している。業態別では病院・福祉施設が好調だ。16年からの5つの適正化が奏功し、利益も安定して確保できる体制が整いつつある。「価格改定などはせず、適切な商売ができる関係をより密にしている」(谷口営業本部長)とし、特に前期から「取り引きから取り組み」への営業活動を進めている。「ただ商品を並べているだけでは商売にならない。取引先の要望を吸い上げ、いかに応えるかがより重要になってきている」この「取り組み」の成功事例として、病院・福祉施設からの要望を取り入れた「スチームナス」がある。従来油で揚げて販売していたナスをスチーム加熱したもので、油を使用していないため、高齢者にも食べやすく、販売は好調だ。また、無加熱のミックス野菜も取引先からの要望から生まれたヒット商品だ。これら「取り組み」から生まれた商品を横展開することで、より現場のニーズに適応した商品のラインアップを増やしている。
〈独自性ある完全調理済み商品の販促を秋から本格化〉
完全調理済み商品の販売にも注力する。肉じゃがや筑前煮といった商品は既に定着しているが、人手不足を背景にニーズが急増。新商品の開発を進めており、今年4月からチンゲン菜のおひたしとキンピラごぼう、8月にはおくら大根おろしの販売をスタート。10月にはさらに6品の発売を予定している。
昨年秋から本格的に開発をスタートし、取引先や展示会の来場者の声を参考にしつつ、独自レシピを研究してきたという。「他社と似た商品では、価格訴求に陥ってしまう。京果食品だからできる独自商品でなければいけない」(谷口営業本部長)と強調する。
これらの活動が奏功し、「京果食品は冷凍野菜だけではない」というイメージが定着しつつあるという。今年の秋から新商品を武器に、本格的に完調品で攻勢をかける。
無加熱調理摂取商品も成長著しいカテゴリーだ。元々前期は80tの販売を計画していたが、300t弱と大きく計画を上回った。ホウレン草、菜の花、ブロッコリー、枝豆などをラインアップしており、外食店や総菜からのニーズが高い。今期は800tの販売を計画しており、柱のカテゴリーとして育てていく構えだ。
今後も、一貫して5つの適正化を進める。「基本でありながら、あらゆることがこの5つに集約されている。『営業活動』の適正化のためには、営業担当者がお客様の声を聞く耳をもたなければいけない。そのためには『人材育成』の適正化が不可欠だ。5つは密接につながっており、終わることはない」とし、基本の徹底をより進めていく。
〈冷食日報 2019年9月5日付〉