“たこ焼きロボ”が生地を流し込みピックで調理、ファストフード「ポッポ幕張店」、イトーヨーカドー内に開店/セブン&アイ・フードシステムズ

たこ焼きを調理する「ポッポ幕張店」のロボット(左端)
セブン&アイ・ホールディングス傘下で外食事業部門を手掛ける、セブン&アイ・フードシステムズ(小松雅美社長)は17日、千葉市のイトーヨーカドー幕張店にファストフード業態の「ポッポ幕張店」を開店した。たこ焼き調理ロボットとソフトクリームロボットを初めて導入した。ロボットの導入によって品質の安定性、効率化を高めるとともに、エンターテイメント性を付加することで集客を図る狙いだ。

同社は16日に、導入したロボットと付帯システムを提供する、コネクテッドロボティクス(CR社、沢登哲也代表取締役)と同店舗で記者発表会を開いた。

セブン&アイ・フードシステムズの小松社長は「たこ焼きは、(人間が)一人前に焼けるようになるまでには20時間の訓練が必要で、調理中も付きっ切りとなる。利益面で大きな問題を抱えていた。ロボットの導入による効率化に期待している」と述べた。

CR社のたこ焼ロボット(Octo Chef)は昨年7月に長崎ハウステンボスに導入実績がある。今回はこの機械を改良し、安定させたという。

たこ焼きの調理工程では、鉄板の掃除や具材プレートの挿入、盛り付け、トッピングには人の手をかけるが、それ以外は自動化している。たこ焼ロボット(愛称「ハッピー」=TM5-900[テックマンロボット社])がロボットアームで生地を流し込み、ピックを巧みに使って焼き上げる。加熱中はたこ焼きをピックと振動を組み合わせて回転させ、画像認識で焼きムラがないかを確認。1回に最大96個(12人分)を約20分で生産できる。状況に応じて、タブレット操作で個数の指定も可能だという。

営業時間10時間のうち、人の労働時間は7時間ほど削減できると見込む。CR社の沢登代表は製品のロス率について、2~3カ月の稼働で1割程度になると見込む。小松社長はロボットの導入について、第2ステップとして今川焼(同店では黄金焼きという)に、第3ステップとして洗い場の洗浄ロボットに、広げたいという。いずれもCR社と協働していく方針だ。

調理ロボットでは複数メニューをプログラミングして、ロボットを移動させるだけでたこ焼き、今川焼、さらに別のメニューと時間帯ごとに有効活用することを視野に入れる。

洗浄ロボットはファストフード業態だけでなく、デニーズなど他の業態にも導入していきたい考えだ。小松社長は「並行して進めており、早期導入を実現したい。大きな人件費改善につながる」と期待する。CR社の沢登代表は、「来年初めには店舗に入れられるレベルになる」としている。

ソフトクリームロボ(Dobot Magician[Dobot社]、愛称「ワンダー」)はソフトクリームのコーン受けにコーンを置くと自動で規定量のソフトクリームを巻き上げ、客に提供する。アームロボに犬の装飾をして、動きに合わせてしゃべる機能を搭載することで、エンターテイメント性を高めている。ソフトクリームもたこ焼き同様、ロボット導入により教育時間と食材ロスの削減効果があるメニューだという。

小松社長は今後の展開について、「導入の拡大は視野に入れているが、検証をしっかり行い、今後どんな店に拡大するか検討したい。今はファストフードでPDCAを回す。今川焼やお好み焼、ポテトフライなどロボットへの代替の可能性は大いにあり、積極的に進めたい。デニーズでも揚げ物は視野に入るが、重労働となっているのは特に、洗い場。非生産的作業だが人員を充てざるを得ない。コントラクトフードサービスも同じだが、その部分で貢献期待は大きい」と述べた。

CR社は今回、月額課金型サービスとしてロボットと付帯システムを提供する。導入コストを安価にして、普及を進めたい考えだ。沢登社長は、「売り切りでは1,000万円を超えてしまう。その後のアップグレードも要求されるので、導入を安く、顧客と伴走できる事業展開をしていきたい」と述べた。2021年までに100台、24年末までに1,000台の販売を目標としている。

〈冷食日報 2019年10月17日付〉