味の素冷凍食品2019年度上期、「ギョーザ」の販売施策が奏功、販売休止の「ザ★チャーハン」は再開へ
味の素冷凍食品の下保寛取締役専務執行役員マーケティング本部長兼国内統括事業部長は12月18日に開催した専門紙向け年末会見で2019年度上期(4~9月)と足元の事業概況について説明した。味の素グループ冷食事業としては「昨年は国内・海外とも厳しい業績だったが、19年度上期は大幅な増益となった」。
国内の家庭用(リテール)においては、主力商品である「ギョーザ」の販売施策が奏功した。販売休止となっている「ザ★チャーハン」も千葉工場の生産体制を整え、販売再開日が決まった。
味の素グループ冷凍食品事業は、売上高が1,030億円で前年比1%減、事業利益が46億円で前年より32億円増加した。国内外の売上高の内訳は、国内が494億円で前年並み、海外が536億円で1%減となった。
国内ではリテール分野については市場が2%成長のところ、それを上回る伸びとなった。ギョーザは前年を大きく上回った。19年1月から価格の見直しを行い、店頭活動もギョーザを中心に行った。新CMも8月から投入し、ギョーザを家族・友人と作って食べる楽しさを訴求し、高く評価されているとした。
価格戦略の見直しについては昨年秋のリニュアルに伴う価格改定(5%値上げ)を受けて販売の回転が落ちたことから、店頭の特売売価を客が手に取りやすい価格にするように変更した。併せて特売は「ギョーザ」に集中させるなどの施策に取り組み、売上げを大幅に回復させた。唐揚げは18年度に大幅に落ち込んだ。今秋に270g から300g に増量改定した。「底を打って少し上昇し始めたところで、もう一歩進めていく」とした。
米飯については厳しい競争環境がある中、「ザ★チャーハン」が当上期前年を上回り順調に推移した。テレビ番組で取り上げられた効果や、プロモーションが上手くいった結果と見る。
ただし「ザ★チャーハン」は販売好調な中で、10月17日の受注をもって休売する事態となった。現在は生産体制を整え、1月9日の販売再開を決めたところだ。
下保専務は「大型商品の休売ということで、ご迷惑をおかけしたが、しっかり生産体制を整え、もう一度ご愛顧いただけるように準備している」と陳謝した。
今後はもう1つの米飯工場である大阪工場でも、これまでより「ザ★チャーハン」へ対応しやすい体制にしていくことも検討しているという。
FS分野の売上げは前年を下回った。ただし「特定の大手需要家への販売が落ち込んだ影響で、全体の構造としては安定成長している」。スイーツはカット済みケーキが成長を牽引。餃子では「焼き目付き餃子」が、米飯では「ガツうま!チャーハン」が売り上げを伸ばしている。「当社のユニークな、オペレーション課題を解決する商品が伸びている」とした。
一方、鶏肉加工品などで大手需要家の一部で販売減が影響してFS 分野全体としては減収となった。
事業利益については、国内が34億円で前年より15億円増加、海外は12億円で17億円増加と大幅に改善した。
国内においては販売の拡大に加え、業務用で一部値上げしたこと、商品構成や原価の見直しなどのコスト改善が奏功した。
海外については米国において値上げと生産性の改善が奏功した。
〈10~11月ギョーザ、シュウマイ2桁増〉
10~11月の足元の業績について、国内においてはリテールでは引き続き主力カテゴリーが好調。ギョーザ、シュウマイが2桁以上の成長を見せている。FS は市況は不調だが、同社の販売は全般的に堅調に推移した。
通期業績は売上げ・利益とも前年を上回る見込みとしている。
〈冷食日報 2019年12月23日付〉