【2020年頭所感】日本冷凍食品協会・伊藤滋会長/冷凍食品100周年を盛り上げる、認定制度事業も拡充

日本冷凍食品協会・伊藤滋会長
冷凍食品を取り巻く状況をみますと、穀物等の国際価格は総じて落ち着いた動きでしたが、国内産原料については、米価の高止まり状況が続いているほか、水産物は主要魚種で漁獲量の減少による価格高騰とともに安定的な原料確保に支障が生じています。物流コストについては、物流業界の人手不足などを背景に近年大幅に上昇しています。コスト上昇を背景に、昨年前半に一部の冷凍食品の出荷価格引上げが行われましたが、必ずしも十分浸透したとはいえない状況です。

冷凍食品の需要については、昨年は、各社の新製品発売、テレビを活用したPRなどで家庭用は堅調でしたが、業務用は外食向けなどが伸び悩んだものとみられます。その結果、昨年の冷凍食品の国内生産量は、ほぼ前年並みとみられます。

今年は、北海道森町で水産物冷凍事業が始まって100周年に当たり、また東京オリンピック・パラリンピック開催の年です。従来の事業内容の拡充に努めるとともに、冷凍食品100周年にちなんだ新たなイベント、スポーツに関する事業内容等を検討します。

冷凍食品認定制度について、近年、認定工場の品質・衛生管理水準は格段に向上しています。また、改正食品衛生法に基づき、当協会が作成したHACCPに基づいた衛生管理計画の作成手引書を基に、冷凍食品製造事業者がHACCP制度化に対応できるよう、非認定工場を含めて支援したほか、全国各地での講習会開催などを実施してきました。本年もこれらの事業の拡充を図っていきます。

そのほか、フロン類から自然冷媒への転換促進、食品営業許可制度や食品用器具・容器包装の規制等の見直し、新たな食品表示制度の運用など、各種制度の変更に当たって、業界の立場から行政に意見を申し述べるとともに、会員に対して必要な情報提供を行ってきました。今後も、実態に見合った制度運用がなされるよう対応していきます。

昨年7月、当協会は創立50周年記念行事を開催しました。業界発展に多大な功績があった先達に想いを馳せる機会となりましたが、令和が始まった年に、これからの50年のスタートを切る幸運に恵まれました。本年が、会員各位をはじめ冷凍食品に関係する皆様にとりまして、良い年になることを祈念して新年の御挨拶とします。

〈冷食日報 2020年1月7日付〉