ニチレイ決算、加工食品は2,347億8,100万円 家庭用伸長
2019年度の加工食品事業は売上高が2,347億8,100万円で前期比3.6%増、営業利益は167億2,500万円で14.6%増となった。売上高営業利益率は前期より0.68ポイント上昇し7.12%(本紙算出)となった。増収効果が大きく、海外子会社の業績改善も寄与した。
加工食品のうち家庭用調理品は売上高が648億3,100万円で7.5%増。テレビCMなど積極的なの販売促進活動を行った「本格炒め炒飯」や「特から」など主力商品がけん引した。「手羽から」「ささみソースカツ」も寄与した。業務用調理品は995億3,400万円で1.2%増。主力のチキン加工品や春巻類の新商品などが伸長した。
農産加工品は197億9,700万円で2.5%増。ブロッコリーなど「そのまま使える」シリーズ、ほうれん草、枝豆類の取り扱いが伸長した。
海外は348億4,100万円で6.7%増。米国子会社イノバジアン・クイジーン社が積極的な販売促進活動によって家庭用商品や中食向け業務用商品が伸長した。
〈2020年度加工食品、家庭用がけん引 生産体制の整備急ぐ〉
ニチレイの2021年3月期業績予想は売上高が5,900億円で前期比0.9%増、営業利益が315億円で1.5%増などを見込む。新型コロナの影響による環境変化に迅速に対応しつつ、事業基盤を強化し中計最終年度(21年度)への道筋をつける方針だ。
加工食品事業は業務用中心に新型コロナの影響を受けると予想するが、家庭用の拡販や商品ミックスの改善によって収益を確保する。
加工食品のうち家庭用調理品は売上高715億円で10%増を見込む。家庭用は今年2月以降、巣ごもり消費の拡大を受けて好調に推移している。「本格炒め炒飯」や「特から」に加え、春の新商品「極上ヒレかつ」など、拡大する「主食」「食卓おかず」需要に対応していく。
業務用調理品は売上高945億円で5%減。外食・給食向けは厳しい状況が続く見通しだが、惣菜やCVS向けに注力する。業務用で50億円減収に抑え、調理品トータルで増収を目指す。
国内では需要拡大を受けて生産体制の整備が急務だ。特に米飯類では主力商品を集中生産するとともに、船橋工場の既存ラインを増強する。「特から」を生産するタイ・スラポンニチレイフーズの工場ラインも増強する。タイではGFPTニチレイ社の第二工場が今年10月に稼働予定。コスト競争力のあるチキン加工品を開発し、中食向けに拡販する計画だ。 成長業態への取り組みも強める。今期「ウエルライフ事業」として事業部を創設し、健康基軸の事業拡大を図る。生協宅配への対応力強化のほか、自社通販サイト「ニチレイフーズダイレクト」の改善とSNSの活用策に取り組む。
今年1月に出資したDAIZ社と発芽大豆をベースとした代替肉商品の開発、商品化も進める。
〈冷食日報2020年5月14日付〉