ニチレイロジグループ本社2020年3月期連結決算、営業益は5期連続最高、大都市の集荷拡大・業務改革推進
事業分野別に見ると、物流ネットワーク事業は売上高が1,009億円で前年比7.7%増、営業利益は41億4,900万円で7.0%増と伸長した。
そのうちTC(通過型センター)事業の売上高は586億円、前年より21億円増加した。主要顧客の取扱い物量増加と、課題事業所における適正料金収受による収益性改善が寄与した。
また3PL事業は売上高が261億円と前年よりも50億円近く増加。物流コンサル事業の業容拡大のほか、昨年4月に移管された東扇島物流センターの売上げ25億円分の積み上げが寄与している。輸配送事業の売上高は162億円で2億円増加。ドライバー不足に伴うコスト上昇環境への対応とドライバーの労働時間的適正化に向けた対策を進めた。
地域保管事業は売上高が645億円で1.6%減、営業利益は67億3,100万円で4.6%減となった。東扇島物流センター移管の影響で減収となったが、事業自体は好調だ。利益面では人手不足によるコスト上昇の影響は大きいが、地域各社の独自施策が奏功し増益となった。
特に関東港湾地区では他社施設を含めた効率の高い庫腹運用によって集荷を拡大。関西、中部における輸入貨物荷揚げ先の分散化ニーズも取り込んだ。
地域ネットワーク各社では、キョクレイが通関・保管・運送の一貫サービスの提供で飲料原料の取り扱いを拡大。名古屋みなと物流センターの稼働を見越した名古屋エリアの支配在庫拡大にも注力した。中四国エリアでは冷食の物流共同化で新たな冷食メーカーを拡大した。
海外事業は売上高が375億7,100万円で2.0%減、営業利益は12億3,700万円で0.7%増となった。減収は為替換算の影響で売上高に25億円のマイナス要因が生じたため。
そのうち欧州事業は現地通貨ベースで売上高2億8,900万ユーロと前年比900万ユーロ増加した。ドイツ・ポーランドの好調が寄与した。ドイツではクロスボーダー輸送需要を着実に取り込み、ポーランドでは新規に大手GMS3社の顧客獲得により売り上げが伸長した。
また中国事業は現地通貨ベースで売上高が1億4,600万元と前年より3,600万元増、営業利益も1,300万元と前年より900万元増。大幅な増収・増益となった。大手CVSの出店加速に伴う物量の増加や、江蘇鮮華の安定稼働で華東エリアの事業基盤が強化されたことが寄与した。保管・運送事業では主要顧客である大手外食チェーンの取扱い物量が拡大した。
〈新型コロナ影響、外食向け停滞 量販店TCの需要拡大図る〉
ニチレイロジグループでは20年度の売上高を2,095億円と前年比1.5%増、営業利益を116億円と1.9%減を見込む。19〜21年度の中期計画比では売上高は89億円下振れ、営業利益は2億円上振れとなる予想だ。為替換算影響や新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響もあり、売上高は計画を下回る見込みだが、利益面では各種効率化施策とコスト削減の徹底により減収影響を吸収する計画となる。
新型コロナの影響について、外食向け冷凍食品の荷動き停滞、取り扱い物量の減少によって収益にマイナス影響を及ぼしているという。一方で巣ごもり需要を反映し、量販店向けTCの通過物量や常温加工食品向け冷凍原料の保管など、家庭向け商材の取り扱い物量が増加している。これらの物流需要を着実に取り込み、収益拡大を図る方針だ。
今期の重点施策として、新たな3PLモデルの確立を掲げる。「冷食プラットフォーム構想」と称し複数の冷食メーカーと物流会社とを繋げ、物流全体の課題や有益な情報を可視化・共有化することで全体最適を図る。
今期は4月に名古屋みなと物流センターを稼働、冷食カテゴリーの旗艦拠点として冷食物流の協働かと幹線輸送ハブ機能を活かしたワンストップサービスを提供する。来年3月にはキョクレイの「本牧物流センター」を、現行の山下物流センターの代替として稼働。庫腹を増強し、業容拡大を進める。
今年4月に関西エリアのロジスティクス・ネットワークの拠点をニチレイ・ロジスティクス関西に移管した。貨物のカテゴリー化を進め、物流の全体最適とワンストップサービスの提供を実現する狙いだ。
海外ではフランス事業の保管拠点の基盤強化、中国には上海第二(青浦)センターを今年5月に開設する。タイのSCGNは二期棟増設稼働が来年3月に、マレーシアでは19年11月に南部ジョホールに、今年1月に北部ペナンに、それぞれ新センターを設置し、同国内ハラール低温物流ネットワークを他社に先駆けて構築した。
〈冷食日報2020年5月19日付〉