展示会「UCC Smile Festa 2020」に味の素・テーブルマークなど参加、業務用食品や健康需要などに提案も
新型コロナウイルスの影響で外食需要が減り、業務用商品は厳しい状況にある。その中で、テークアウトやデリバリーに活路を見出す飲食店も少なくない。UCCコーヒープロフェッショナルが9月8日・9日に都内で開いた業務用展示会「UCC Smile Festa 2020」には、味の素冷凍食品やテーブルマーク、ニチレイフーズ、日本水産などが参加し、昨今の市況に合わせた提案を行った。
「緊急事態宣言が解除された6月頃から、回復傾向にあったが、7月に入って落ち込み、8月は7月より改善した」。UCCのブース担当者は話す。2020年は2月後半から新型コロナウイルスの影響が顕在化し、4月には売り上げが前年同月比で半分以下になった企業もあった。日本フードサービス協会の市場動向調査によると、今年5月の全体の売上高は前年同月比32.2%減となった。中でも「パブ・居酒屋」業態は90%減と大幅に落ち込んだ。
出展していた冷凍食品関連の多くのメーカーでも、この時期の売上は大幅に下がり、6月頃から回復傾向にあった。しかし、感染者の拡大が報じられた7月後半から動きは鈍化したという。その中で、新型コロナの拡大とともに急速に注目を集めるテークアウトやデリバリー向けの提案も活気づいた。
ただ、テークアウトなど需要について「うちではそこまで伸びなかった」(大手食品メーカー担当者)との声もある。別の担当は「小規模店舗は特にそうで、そこまで取り組む余力はないのでは」と分析する。別の大手メーカーは「需要は着実に増えていて、そこ向けの提案を進めている」と話しており、状況は各社で大きく異なる。
UCCは自社PBで簡便性の高いメニューの提案を行った。ミールキットなども投入した。ブースの担当者は「在宅機会が増えて、健康関連の需要はより高まっている。スイーツ需要も伸びており、こうした需要に応えられるよう提案を進めたい」と語る。また、生活環境の変化などへの対応策も紹介した。
ニチレイフーズのブースではレストラン用の「グレイビーハンバーグ」を紹介した。デミグラスソースの入った商品も投入し、店舗などのニーズに合わせた活用ができる。担当者は「訪問できるところにはできるだけ伺い、卸とも相談しつつ、顧客の課題解決につなげたい」と話す。また、「夜間の飲食需要は減ったものの、ランチタイムの需要は無くなっていない。そうしたところへの提案も行いたい」と力を込める。
ニチレイフーズ レストラン用「グレイビーハンバーグ」
キユーピーの担当者は「一般消費者向けのドレッシングなどは順調だったが、業務用の商品は厳しかった」と振り返る。今秋は今年春に投入した商品の再提案を行う。最近はスーパーなどの惣菜やパン屋からの引き合いは増えているという。中でも、シーザーサラダドレッシングなど、新たなサラダ市場開拓のために投入した「ペイザンヌサラダ ドレッシング」の訴求を強めており、ブースではパンを皿代わりにして、上にサラダを乗せる「サラぱん」という提案をした。
キユーピー「ペイザンヌサラダ ドレッシング」
味の素冷凍食品はベジタリアン向けの餃子やシュウマイなどを紹介した。担当者は「オリンピックで来る予定だった外国人向けに開発をしたが、日本でも健康志向は高まっている。こうした需要に応えられるのでは」と期待を寄せた。
その他、日清フーズは冷凍のパスタシリーズを、日本製粉はミニアメリカンドッグやチーズドッグなどスナック商品を、デルソーレはマンティンガ社製の冷凍パンを、ヤヨイサンフーズは大豆ミートを使った商品をそれぞれ紹介した。その他、テーブルマークや、四国日清食品、昭和冷凍食品、大冷、東洋水産、日東ベスト、日本水産、マルハニチロ、明治らが出展した。
〈冷食日報2020年9月15日付〉