明治、コロナ禍の需要急拡大で一時出荷調整、6商品休売、秋の新商品は下期に投入を計画
明治の冷食事業では今期、主力カテゴリーとなるグラタン・ドリア、レンジピッツァは、コロナ禍を受けた休校や外出自粛の要請の影響で一時、通常の3倍以上の発注があるなど、出荷調整を余儀なくされた。一部商品の休売も決めて主力品の供給に努めた。下期も主力商品の安定供給を優先するため、休売した商品の復活はせずに商品を絞って事業展開する。今秋は新商品の8月下旬発売も見送り、「満足丼 濃厚オムライス」のリニューアル発売に留めた。ただし、秋の新商品については下期中の投入を計画している。
コロナ禍による冷食の特需に対応して、主力品の供給を優先するために銀座シリーズ2品、チーズリゾット2品、ラザニア、3枚入りピッツァの合計6品を休売としたが、それでも3個入りグラタンについては対応しきれず、一時休売という事態となった。3個入りグラタンは5月末から販売を再開している。
4~8月の販売実績はグラタンが休売の影響で前年割れ、ドリアは2桁増、ピッツァは2桁に近い伸びとなった。
「満足丼」シリーズは4月に中華メニューを2品追加し、販売は計画を上回って推移した。特にオムライスが好調だ。次いで四川風麻婆丼、ダブルカレーの売れ行きが上位となる。店頭では3アイテムほどが並ぶケースが多いという。
4~6月はコロナ禍の影響で家庭用冷食全体の需要が拡大したことも影響して販売が伸びた一方で、量販店で主力商品を中心とした棚割りとなったことで、採用が決定していた店舗でも一部弾かれる状況もあった。
6月下旬には冷食の特需は落ち着いたが、7月はプロモーション施策の効果で再び盛り返しているという。
お笑い芸人のハリウッドザコシショウを起用したプロモーションは各種メディアで話題になった。5月にタイアップソングをYouTube などに公開。20分ほどの映像だが、150万回以上再生されたという。テレビの情報番組でも取り上げられ、Twitter でトレンド入りするなど、話題づくりに成功した。1カ月後のCD 発売にあわせて、YouTube でザコシショウのオンライン飲み会をライブ配信している。ザコシショウを起用したプロモーションは話題性もあり、売場に動画モニターを設置して販促している店舗もある。
パイシートはもともとの配荷が少ない商品だが、巣ごもり需要によって大幅に伸びた。通常はハロウィンからクリスマス、バレンタインまでの季節性の高い商品だが、春先の巣ごもり需要で、配荷も広がった。業務用の冷凍ホイップと並べた関連販売も展開したという。
〈特需時のトライアルから定着図る〉
今下期は、特需によってトライアルを獲得したことから、まずは配荷の高い商品の販売の底上げ、定着を図る。
グラタン・ドリアやピッツァは需要期に入る。ウィズ・コロナの社会状況にあって、季節の行事に合わせたPR も従来とは違ったものになりそうだが、「売るべき商品」に注力するのが第一義的な課題だ。
ピッツァ市場は漸減状況にあったが、今回の特需を受けて、トライアルからの定着を図る。朝食利用などを店頭で訴求していく考えだ。
冷食では個食トレー入り商品カテゴリーが伸びていることから、「満足丼」はさらに認知拡大、トライアル拡大に向けた取り組みを継続していく方針だ。テレワークの定着、ウィズ・コロナの切り口などを提案していく。
カテゴリー横断で展開する「TANPACT(タンパクト)」は冷食では「えびグラタン2個入」を4月1日に発売した。配荷は順調だという。
下期発売の新商品も準備を進めている。
〈冷食日報2020年9月17日付〉