家庭用冷食 2020年秋の新商品は“近年最少”18社計106品、コロナ禍が影響
また、主要10社の新商品数は63品で、こちらも最近10シーズンばかりか、同じ10社で記録のある2008年以降では最も少なくなった。近年、アイテムの選択と集中が進む中で新商品数が一時より減少傾向にはあったが、今シーズンはなんといっても、コロナ禍が大きく影響したと見られる。また、今秋の新商品が極端に少なかったため、春と秋を合わせた年間の新商品数は255品となり、過去10年では最も少なくなった。
〈メーカー別の最多は米久、中堅メーカーで増加傾向〉
今秋の新商品数が少ないのはコロナ禍の影響を受け、商品開発が難しくなったことが要因として挙げられる。メーカー各社によれば、緊急事態宣言下での移動自粛要請の中で、開発担当者が製造現場に入りづらい状況になったほか、3~5月にかけて家庭用冷凍食品の需要が大幅に膨らむ中、生産ラインがフル稼働になり、新商品の安全性確認などためのラインテストがしづらい状況に陥ったことも影響した模様だ。こうした中、例年も新商品数は少なめな明治が新商品ゼロ、過去10シーズンでは毎回10品以上の新商品を投入してきた日本製粉が3品など、新商品数が少ないメーカーもあった。
メーカー別で今秋新商品の発売数が最も多かったのは、10月発売含み13品を発売した米久だった。同社の家庭用冷食新商品は通常、数品ずつの投入だったが、今季は大豆ミートを使った「AIRMEAT」シリーズを一挙7品、食卓惣菜の「レンジde 食卓」シリーズを一挙6品と、シリーズ商品を大量投入し、他社の新商品数が少ない中でトップに立った。
2番目に多かったのは11品を発売したマルハニチロだった。スナック(ピザ・グラタン)で「ミニピザ」「Cheeeeese!Pizza」「〈こんがりと焼いた〉ほうれん草とベーコンのグラタン2個入」の3品、麺が「〈新中華街〉酸辣湯麺」の1品、調理品のおつまみが「海から揚」シリーズ2品と幅広いが、うち5品は「OceanBlue」シリーズなど調理品の弁当品で、弁当品の発売点数は最も多かった(次いでトロナジャパンの4品)。ただ、合計11品は、同社の中でも過去10シーズンのうちでは最も少ない新商品数となっている。
また、今春と合わせた年間の新商品数は27品で最多となったが、過去10年ではアクリフーズ統合(2014年)前であった2011年の21品、2012年の25品に次いで少ない。
3番目に新商品数が多かったのは9品を発売したトロナジャパンと日清フーズだった。注目されるのはトロナジャパンで、新商品数が最多だった米久同様、他社の新商品数が少ない中でも、近年では最も多い新商品数を投入してきた。内訳は初のミールキットシリーズ2品など、「おかず三昧」シリーズで計7品(うち弁当品4品)、「すき家」丼の具の新商品「炭火やきとり丼の具」1品、ピザ「窯焼きピッツァ マルゲリータ」1品。
一方、日清フーズは、過去10シーズンでは極端に少なかった2018年春の3品に次いで少ない新商品数。9品はすべてパスタだが、高付加価値ブランドの「青の洞窟 GRAZIA」が3品、「青の洞窟」が5品を占め、コロナ禍の下での内食ニーズ増加の中で、「プレミアム感がある商品」の需要を積極的に取ろうとしている。
〈冷食日報2020年9月23日付〉