ニチレイ 世界中のスタートアップと「新“食”産業」の創出を目指す、グローバル・オープンイノベーション・プログラム「Food Tech Studio-Bites !」に参画
同プログラムはオープンイノベーションを通じて、新素材やIoT調理家電、食のパーソナライゼーションといった新サービスなど、テクノロジーを活用して食分野の新たな価値を創造する。さらにフードロスやプラスチックゴミといった社会課題の解決、環境保護のための植物性タンパクの進化などにも取り組む。
現時点のパートナー企業は、不二製油グループ本社、日清食品ホールディングス、伊藤園、ユーハイム、ニチレイ、大塚ホールディングスの6社。パートナー企業はスクラムベンチャーズが行う年間1,500社の企業精査のノウハウを通じて選ばれた、フードテック関連のスタートアップと事業共創を行う。
食産業以外の「戦略パートナー」として食を取り巻く専門的な知見やネットワークを有する世界各地のメンターも参画し、実証実験やPoC(概念実証)にとどまらない、将来の事業化と具体的なサービス・アプリケーションの社会実装を目指す。戦略パートナーとして博報堂、東京建物、シグマクシス、辻調理師専門学校が名を連ねている。
同プログラムの開催期間は2020年9月30日~2021年3月を予定する。スタートアップ募集期間として9月30日~11月30日を、スタートアップ選考期間として同12月~来年1月を設定。事業開発・メンタリング期間は来年1月~3月としている。
ニチレイは参画の理由を「お客様一人一人を知り、直接つながり、サービスを提供するための手段としてフードテックに注目し、様々な研究を行ってきた。そして今回、当社は内部で培ってきた知見と技術をより広く活用するために、『Food Tech Studio-Bites!』に参画することを決めた」とした。
同社の川﨑順司取締役執行役員は「私達は『おいしさ』を企業価値の中心に置き、『多くのお客様』をターゲットに商品やサービスを提供してきた。これからは、もっと『ひとりひとりのお客様』のことを理解し、様々な食を楽しむ機会を提供していきたいと考えている。『Food Tech Studio–Bites!』を通じてパートナーや世界のスタートアップの皆さまとともに新しいサービスや事業を創出していきたい」とコメントした。
スクラムベンチャーズは同プログラム立ち上げの理由を、気候変動などの環境被害、フードロス、生物多様性といった社会課題を背景に、「約10年前に米国を中心にIT関連の人材や資金がフード分野へ流れ込み始め、2019年には、代替肉や調理家電、デリバリーテクノロジーをはじめとする幅広いフードテック領域で、ベンチャーキャピタルによる投資額が150億ドル(約1.6兆円)に達するなど世界でも『フードテック』が大きな盛り上がりを見せている」とし、これらは日本においても喫緊の課題に定めている。
さらに「日本の食関連企業は、世界に先駆けレトルトカレーやインスタントヌードルの開発、大豆を用いた代替肉のいち早い製品化など、世界のフード業界にイノベーションを起こしてきた“元祖フードテックイノベーター”」であるとして、「この“元祖フードテックイノベーター”達と、新たなフードテックのイノベーター達が共創し、新たなソリューションを生み出していく」と日本企業との取り組みの意義を強調した。
〈冷食日報2020年10月1日付〉