「テーブルマークらしさの構築」中計推進を強調/2020年末記者会見・香川社長

テーブルマークが12月17日開催した年末記者会見で、2020年を振り返り香川雅司社長は今期(2020年12月期)進めてきた中期計画の推進を強調した。

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2020年の外部環境の変化について「一言でいうとコロナに尽きる。中でも消費者の動向の変化が大きい。消費者のオケージョン、シーンの変化と志向の変化があった」とした。

冷食業界にとっては、オケージョンとして外食から中食・内食へ、Eコマースやデリバリーの増加、巣ごもりによって家庭で料理する際の使用機会の増加――の変化があり、健康志向や節約志向が「すごい速度で進行した」と話した。

このような外部環境変化のなか「テーブルマークとしてはメーカー機能として社会的責任、すなわち食の供給責任を果たすべく、製造のフル稼働、需給の確実な担保、食の安全の担保に努めた。一方で働き方改革としてリモート会議などデジタル化を推進してきた」と振り返った。

今年度の事業執行状況については「今年、テーブルマークとしての中期経営計画を策定した」として中計を軸に説明した。

キーワードを「テーブルマークらしさの構築」として、その一環として事業ポートフォリオの再構築に着手した。事業の選択と集中により、冷凍麺、パックご飯、「ごっつ旨い」シリーズ、ベーカリー・デザートの4品群に注力する。そのためノンフライ麺は2021年6月に事業譲渡(寿がきやへの加ト吉水産フーズ部 群馬工場の譲渡)することを決めた。

選択した品群については今年度、冷凍麺、パックご飯、「ごっつ旨い」シリーズの3つの品群は、「販売チャネルがBtoCであることもあり」計画以上に進捗した。一方、ベーカリー・デザートは「外部環境の変化の影響を非常に受け、販売チャネルがBtoBであるとから年初計画よりもかなり苦戦した」とした。

来年以降について「(吉岡清史次期社長の下)新しい執行体制となっても引き続き、この中計を推進していく」と述べた。

〈2020年度は家庭用好調、業務用は苦戦も、亀山専務「活性化できる状況もある」〉
テーブルマークの亀山明記専務執行役員営業本部長兼販売事業部長は「コロナによって常識が通用しない、スピーディに販路や売る物、売り方を変えないと生き残れないということが理解できた1年だった」と述べたうえで、2020年度の事業概況を説明した。

家庭用冷食部門の売上げは、弁当商品が足を引っ張ったものの、全体としては2桁近い伸びで通期着地見通しだ。

家庭用のキーワードとしてアレンジ性と一食完結型を挙げた。

アレンジ性については「言い換えれば素材だ。冷凍玉麺を中心に料理の場やバリエーションの広さで大きく伸長した」。一食完結型としてはトレー付き麺「お皿がいらない」シリーズの好調、お好み焼・たこ焼のトレー付き商品の好調、新商品である300gの冷凍米飯の好調があった。

販促施策としては特にウェブ媒体を活用した取り組みに力を入れた。

家庭用では常温食品のパックご飯が非常食としてニーズが高まった。今後、普段使いでも市場が拡大していくと見込む。パックご飯の新たな食シーンも提案してきた。コロナ下でのキャンプの流行もあり、HPで「アウトドアでもパックごはん」特集ページを公開。今年1月にはキャンピングカーショーに出展し、ファミリー層にキャンプでの利用を提案できたとした。

業務用は「非常に厳しい状況」。1月は非常に良いスタートを切ったが、3月以降は緊急事態宣言後にファストフードを除く外食全般で客足が遠のき、大きなダメージを受けている。売上げは前年比80~85%で着地する見通しだ。

ホテルのビュッフェやスーパーのデリカコーナーのばら売りの中止で売上げに急ブレーキがかかった。東京・大阪を中心とした時短営業もかなり響いている。「ゴールデンウィーク、お盆、年末年始と業務用の大きな山がコロナに翻弄されているのが実態だ」と話した。

ただ好調なものもある。デリカでは引き続きお好み焼き、山芋焼きが好調。衛生面への配慮から、個包装パンの需要が増えている。今夏は学校給食の簡易給食で小袋入りのパンが大きく伸びた。「来年以降も期待できる」とした。

またビュッフェに代わるミールボックスの提案など「提案方法によって活性化できる状況もある」とし、冷食への期待に応えたいと話した。

〈冷食日報2020年12月22日付〉