ファミリーマート、冷凍野菜は順調に推移、個食関連も堅調、冷凍弁当の提案も/コンビニエンスストアの冷食戦略

ファミリーマート「濃厚肉味噌ジャージャー麺」
ファミリーマートは買い回りの良い冷凍野菜を投入するなど、少人数世帯を視野に入れた提案を進めている。商品・マーケティング本部の栗原栄員氏に聞いた。
ファミリーマート 栗原氏

ファミリーマート 栗原氏

――冷食市場全体の動向は
 
元々冷凍食品の市場はコロナ前から伸びていたと思う。女性の社会進出などライフスタイルは変化し、家事の負担軽減などのニーズに応える商品として、社会的に冷凍食品の注目は高まっていた。コンビニでもニーズは伸長した。新型コロナウイルスは冷凍食品の持つ、作りたての味をいつでも食べられるなどのメリットが大きく目立つようになった。そのためか、市販の冷食市場は伸長した。
 
特に、最初の緊急事態宣言の発令時は大きく需要は高まった。2回目の緊急事態宣言では1回目ほどの伸びはないものの、堅調に推移している。新しく利用される方も増えた。
 
――貴社の動向は
 
2020年3~12月の売上は、前年同期比で約30%増加した。今期はコラボ商品として、札幌ラーメンの名店「さっぽろ純連」監修の冷凍食品「さっぽろ純連監修チャーハン」(税込278円)を投入した。外食店に行けないときに有名店コラボを出すことで、我慢している方のニーズに少しでも応えられればと取り組んだ。今後もこうしたコラボは検討したい。
 
もう一つは、コロナの影響で財布のひもが閉まる可能性ある中、2020年10月に税込108円の冷凍野菜4品を出した。価格感度の厳しい主婦の方に支持してもらえればと取り組んだ。生鮮野菜の高騰などの影響で価格が上がるなど外部的要因もあって伸長した。
 
個食商品は伸びている。惣菜メニューはトップシールにして強化している。パスタはトレー入りに変更して伸長した。コンビニに来る方は気軽さを求めているためか、こうしたトレーのまま食べられる商品の利便性は支持を得られた。
 
2019年冬に販売を開始したトップシールの惣菜は堅調に推移している。今は7アイテムを展開しており、面で訴求できるようになった。スーパーマーケットとも差別化できる商品なので今後も強化したい。店舗の担当からは単価アップにもつながったという。メニューは畜肉系が今は多いので、今後は野菜を使った商品も増やしたい。
 
――冷凍弁当にも力を注いでいる。販売のきっかけは。
 
コンビニが冷凍商品を買う場所になり、コンビニらしい冷凍商品とは何かと考えたときに冷凍弁当の販売に至った。もともと、「am/pm」でも冷凍弁当を販売しており、このノウハウを活用できた。冷凍技術の進歩で、改良できた部分や、「ジャージャー麺」といった過去に販売していた商品を改良して販売している。ジャージャー麺は懐かしいとの意見もあった。将来的にはトップシールにできればと考えている。
 
――今後の取り組みは。
 
スーパーだと人数の多い世帯向けの商品が多く、しっかりと料理をされる方の利用が多いと思う。一方でコンビニは、少人数世帯の利用者が多い。スーパーよりも少量の食材を使いたいというニーズを持つ方もいるので、こうした方から支持されるようにしたい。コロナ禍で外出をしづらくなった今、コンビニは人との接触を減らせるため、日常使いをしてもらえるような品ぞろえなどで来店動機になればと思う。
 
また、冷凍食品の客層は女性が多い。もっと女性に来てもらえるよう、冷凍野菜は拡充し、日常使いになる商品をそろえる。冷凍野菜の販売を開始したところ、使いやすさからかSNSなどで商品を紹介してくださる方がいた。インフルエンサーの方に刺さる商品を販売できればと思う。コラボ商品も、売り場の雰囲気を変えることにも効果的なため、今後も継続したい。
 
手軽さや、利便性の追求も進めていく。新しくやるのは、日常使いはもちろん、そこにプラスアルファの価値を出せればと思う。外食しづらい環境の中で、贅沢したい、手軽に品位いいもの食べたいというニーズはある。高品位な商品群も強化し、食事の楽しさなど喚起できればと思う。
 
〈冷食日報2021年2月18日付〉