「無印良品 港南台バーズ」で食品販売スタート、関東初のスーパー併設店舗、冷食売場は最大規模
スーパーマーケットと併設した店舗は関東では初めて。「クイーンズ伊勢丹」を運営するエムアイフードスタイルと、鮮魚専門店の中島水産と共に売り場を構築し、近隣住民のニーズに応えられる店舗を目指す。
港南台は高度経済成長期に団地を中心として町が作られており、定住意向が強いという。しかし、開発から40年以上が経過し、建物の老朽化や空き家問題なども問題も抱えている。人口の26.6%が65歳以上で、横浜市全体と比較すると3.4ポイント高くなっている。2020年8月に「高島屋港南台店」が閉店し、その跡地は「港南台バーズ」として今年4月22日にリニューアルオープンした。無印良品の衣類や日用品を扱うフロアも同日に先行して開業している。
同店は関東地方で最大の面積を誇り、食品を扱うフロアは暮らしに必要な基本の商品をそろえた上で「食と農」や「資源循環」、「くらしのサポート」、「まちづくり」の4つのテーマで取り組みを進めた。食品フロア全体で商品は1万7000品目以上をそろえ、無印良品だけで7000品目を陳列する。
冷凍食品の売り場は、冷凍食品を扱う無印良品84店舗の中では最大規模となる。今後発売予定のミールキット15アイテムと、冷凍野菜10アイテムを先行導入した。他にも人気商品のキンパやから揚げなどもそろえる。
ミールキットはフライパン1つしか使わず、調理も10分で行えるようにした。商品は1人前と小ぶりながらも価格は350円に統一し、食卓にもう一品を追加したいときに使い勝手が良い設計にしている。
こだわった点について、冷凍食品の開発などを担当する鈴木美智子さんは「一般的なミールキットは中華や和惣菜が多い。無印のミールキットは他ではあまり見かけないような味付けの商品を開発した」と話す。売場に並んだ商品をみると、「鶏肉とカリフラワーのレモン煮」や「たこのアンチョビトマト煮」など、個性的なラインアップをそろえている。冷凍野菜はカレーに使えるカット野菜やスープに使える野菜などを扱う。
同社の冷凍食品は新商品を含めて99アイテムとなった。今後は改廃も検討しながら商品のさらなる充実なども目指す。また、冷凍食品は同社でも力を入れていくカテゴリーの1つで、今後出店予定の店舗でも品ぞろえを充実させて展開したい考えだ。鈴木さんは「今後も冷凍食品の売り場はしっかりと作っていく」と語った。
「クイーンズ伊勢丹」の冷凍食品売場でも個性的な商品が多く並ぶ。同社PB(プライベートブランド)商品のスープも冷蔵ケースと平台の両面で展開している。また、冷凍パンも並べて食卓提案を行っていた。ロイヤルホールディングスが展開する「ロイヤルデリ」や、有名外食店の名前を使った冷凍餃子やお好み焼きなど、冷凍食品の売場としてはアッパーな価格帯のものがそろう。冷凍弁当やパスタなど個食関連の商品も充実している。冷凍野菜やフルーツなど、素材関連も多く並べている。
エムアイフードスタイルの冷凍食品担当者は「基本的に冷凍食品は価格訴求が中心。それを避けられるような品ぞろえにした」と話す。同社の20年の冷凍食品の売上は、前年の1.5~2倍で推移した。今年の販売は、好調だった20年比較で同程度となっており、勢いは衰えていないという。同社は、消費者の冷凍食品への関心が高まっていると見て、近年展開した売場では付加価値商品の提案を強めているという。
冷凍食品以外では、無印良品で初めてライブキッチンを設置した。店内で調理の様子を見学できるだけでなく、無印良品のアプリやSNSのInstagramでも同時配信を行う。レシピは、管理栄養士や食育アドバイザーと提携してオリジナルレシピなどを届ける。
〈冷食日報2021年5月17日付〉